アジア太平洋地域の構造の変化はなおさらに、米国の思い通りにはいかない。摩擦をつくって中国を対立する側に立たせることは、決して米国の幸せにはつながらないし、現段階の戦略的選択でもない。
中国はかねてより平和を追求し、米国と新しいタイプの大国間関係を築くことを望んでいる。南中国海問題において話し合いを通じて相互信頼を強化し、疑念を解消し、溝をコントロールすることを含め、アジア太平洋で米国との良好な相互作用も望んでいる。もちろんこれは中国だけで決まるものではない。中国にとっては、南中国海問題における米国の言動はそのアジア太平洋戦略、対中戦略の方向性を判断する重要な指標だ。米国が中国に対して両賭けをするのなら、中国も一本的な願望を抱くほど愚かではない。
南中国海が波風もなく平穏であることは今後相当長期間ないだろう。われわれはこのことをはっきりと認識しているし、心の準備もできている。複雑な情勢を前に、中国には不動の精神力と意志が十分にあり、面倒が大きいほど冷静になり、試練が大きいほど揺るぎなくなるのである。
米国が自らの利益のために南中国海情勢をかき乱すことで、いくつかさざ波を立てられるのは確かだ。だが核心的利益の放棄を中国に期待するのは不可能だ。情勢をかき乱すことで利益を得ようと期待しても、必ず正反対の結果になり、自らが損をする。是非、歴史、現実を混乱させようと愚かに企んでも、思い通りにはいかない。
また、中国とASEANは共通利益が溝や摩擦を遥かに上回る。一部ASEAN諸国は中米間の戦略的均衡を図る上で、どちらがより重要か秤にかけるだろう。こうした背景の下、時代の潮流と地域の協力の大局に背き、大多数の国々と民衆の願いに反する米国の言動が唾棄されるのは必至だ。
最後に、米国は南中国海でなんら大波は起こせないし、中国の台頭の勢いを妨げることや、南中国海諸島とその周辺海域に対する中国の主権を示す揺るぎない証拠を変えることはなおさらにできない。
「人民網日本語版」2012年8月6日