第2に、ここからわかるように、平和的台頭は中国の「片思い」的な一方的願望によって実現するものではなく、必然的に米国など西側勢力を始めとする国際体制との相互作用の結果によるものである。われわれが対外宣伝において「中国は平和的台頭を実現できる」との考えを堅持している理由は、以下のようにまとめられる。第1に、経済建設を中心に小康社会(いくらかゆとりのある社会)を建設するという戦略目標によって、中国は安定した国際環境を必要としている。第2に、中国は極めて困難で複雑な国内問題を抱えている。第3に、中国には「和合」の文化と防御的戦略の伝統がある。第4に、中国は大国の盛衰に関する歴史の法則を汲み取っており、「砲艦政策」の覆轍を踏むことはあり得ない。第5に、中国の軍事力は世界の先端水準と少なくとも20年の開きがあり、西側主導の国際秩序に挑戦する力はない。こうした観点はしっかりとしたものだが、その重点は自国の願望と能力に置かれ、国際体制が中国の持続的発展を受け入れるかなどの外部要因を見落としていると言えよう。繁栄する中国、豊かで文明的な人民が国際社会にとって悪い事だとはどうしても言えない。これは争う余地のない事実でもある。だが肝要なのは、いかにして西側を説得し、自らの願望と最終的な結果において平和的台頭を真に実現できるかだ。筆者は平和的台頭を実現できるか否かは、中国自身の努力だけではなく、米国との良好な相互作用の実現および適切な外部要素を十分に利用できるか否かにかかっていると考える。根本的に言って、中米間の相互作用の結果を予測するのは危険だし、不確かだ。まさにモーゲンソーが指摘したように「国際政治の複雑性が、簡単な解決策や確かな予言を不可能にする」のである。だが1つ確かなのは、中国の総合的実力の強大化に伴い、米国の直面する国内外の面倒はより増加するし、中米間の良好な相互作用の実現に伴い、中国の平和的台頭はより可能になるということだ。