靖国神社など歴史問題での安倍氏の姿勢にも隣国は安心できない。その対中政策が中日関係の政治・経済の両輪を順調に前進させられるか否かは、個人的要因のみで決まるものではなく、日本の国内政治の右傾化が引き続き中日関係に衝撃を与えるか否かも見なければならない。安倍内閣は来年7月の参議院選挙の結果に基づき、憲法第9条の改正を突破口に日本国憲法改正を推し進める可能性が高い。つまり衆参両院3分の2以上の賛成という憲法改正発議要件を過半数に改め、将来の憲法第9条改正に道を開くのだ。これは日本が平和的発展の道を堅持するかどうかという戦略的問題に関係する。日本国憲法第9条は日本は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めている。
安倍氏の対中戦略構想は「中国を21世紀の日本の外交と安全保障上の最大の課題とし、日米同盟の強化を通じて、また中国周辺の地政学的摩擦の中から中国を念頭に置いた協力パートナーを探し求める」というものだ。安倍氏は中日戦略的互恵関係は利益優先であり、友好は手段に過ぎないと強調している。言外の意味は、日本は自国の利益のためには友好は重視せず、非譲歩、非妥協、非友好的な姿勢をとることができるということだ。これは友好と利益を対置する狭隘な観念であり、新時代の外交の真髄に対する真の理解を欠いているようであるし、対立を互恵に転化することも困難だ。
実は中日両国が戦争状態を終結し、平和友好を実現したこと自体が中日間の最も根本的な共通利益だ。さもなくば「中日平和友好条約」締結はあり得なかった。現在、中日友好の基礎は一部の利益の対立によって妨害されている。中日両国が利益と友好のバランスを立て直すことができなければ、戦略的互恵関係は魂を失うし、一部の利益の衝突のために戦略的対抗関係に転化しさえする。
以上述べたことをまとめれば、安倍新首相が手中の機会をしっかりと把握し、利用できるか否かには、まだ多くの可変的要素があり、刮目して待つ必要がある。
「人民網日本語版」2012年12月21日