ヒラリー・クリントン米国務長官は先日、釣魚島は日本政府の管轄にあるため、『日米安保条約』の適用範囲内であると表明し、「米国はこの管轄権を脅かすいかなる一方的な行動も反対する」と述べた。釣魚島問題において日本側の肩を持つこの発言は誤っており、火に油を注ぐ行為である。
米国の外交を担当するクリントン国務長官はワシントンで訪米中の岸田文雄外相と会談した際、上述の誤った発言をした。
まず、クリントン国務長官の発言は基本的な歴史事情と国際法を顧みず、事の是非を一緒くたにし、善悪を逆さにしたものである。釣魚島及びその付属島嶼は古来より中国固有の領土であり、歴史、地理、法律のどの角度から見ても、中国は争う余地のない主権を有している。
ところが1950年代、米国は釣魚島を勝手にその委任管理の範囲に組み入れ、70年代に釣魚島の「施政権」を日本に「返還」した。日米による釣魚島のひそかな授受は中国の領土主権を重大に侵犯し、その後の釣魚島紛争の原因ともなった。釣魚島問題において、米国には逃れることのできない歴史的責任があるが、歴史を反省しないばかりか、過ちに過ちを重ねている。
次に、クリントン国務長官の発言は米国の外交政策の混乱を示しており、日本の右翼勢力を後押しし、中日間の緊張に拍車をかけることになる。
以前の米国の釣魚島問題における姿勢は比較的慎重だった。「ウォール・ストリート・ジャーナル」の17日の報道によると、アジア問題を担当するキャンベル米国務次官補は、日本政府に対して微妙ながらも明確な姿勢を示し、日本は激しさを増す中国との領土問題において言動を慎むべきだと示唆した。「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、この時はまだ「中立」を維持できると見ていた。
ところがその直後、クリントン国務長官は中国に対して、争いのある島嶼の支配権において日本に「挑発」しないようあからさまな要求をした。
クリントン国務長官のこの発言は、日本の右翼勢力を後押しし、挑発の動きを弱めるのでなく解決の複雑性と難易度を高めるものである。