中国の隣国が南中国海と東中国海の領土問題において、日増しに自信を深めている。その一方で、中国とこれらの国の貿易額が激減している。この二つの問題は、結びつけて見るべきだろうか? その答えは一つに決まっている。しかしこれは我々ではなく、シンガポールのリー・クアンユー元首相の口から出た言葉だ。英フィナンシャル・タイムズが1月29日に伝えた。
最新の貿易データによると、フィリピンの昨年の対中輸出額は20%減に、日本の対中輸出額は16%減になった。フィリピンが南沙群島(スプラトリー諸島)、日本が釣魚島(日本名:尖閣諸島)の領有権問題で強硬になるたび、中国は経済力により両国に情報を伝えている。戦略家のリー・クアンユー氏から見ると、これは予想できたことであり、未来の動向を示すものでもある。
過去30年間に渡り、リー・クアンユー氏ほど中国の指導者と長い時間付き合った人はいないだろう。鄧小平氏から習近平総書記に至るまで、同氏はコンサルタントとしての役割を演じてきた。またニクソン元大統領からオバマ大統領に至る米国歴代大統領に対して、同氏は提案を行い情報を提供してきた。同氏は「アジアの世紀」の最も優れたガイドだ。中国が世界最大の経済国に向け邁進するに伴い、同氏は中国の戦略に関連する最も難しい問題の答えを見出すだろう。
中国の指導者は米国に代わり、アジアの支配的な力になろうとしているのだろうか。リー・クアンユー氏は、「そうでないはずはない。彼らの運命に対する覚醒は、一つの圧倒的な力となる」と語った。アジアに再び焦点を絞っている国家に対して、同氏は中国の隣国に注目すべきだと提案した。これらの国家は、台頭中の巨人に経済的に依存する弊害を意識している。13億人の人口を有する市場を閉ざしさえすれば、中国は容易に経済制裁を実施できるのだ。
領土問題がエスカレートするに伴い、中国が武力により主張を実現に移すことはあるだろうか。リー・クアンユー氏は、中国が他国から刺激されないかぎり、その可能性はないと指摘した。同氏は、「中国は自国の経済成長が、エネルギーを含む輸入に依存していることを理解している。中国は開放的な海運ルートを必要としている。中国はかつてドイツと日本が犯した過ちを、極力避けようとしている」と語った。同氏によると、中国は技術力・軍事力の面で劣っているため、この時期に米国に軍事力で対抗する可能性は低い。これはつまり、中国が武力という手段ではなく、外交的手段をより重視することを意味する。
リー・クアンユー氏は、中国は強い信念で持久戦を進めていると指摘し、「世界で最も偉大な国となる、これは中国の野心だ」と述べた。同目標を実現するためには、経済の高度成長を維持するばかりではなく、現在よりも慎重な態度と敏感な感覚により、軍事衝突を引き起こす偶発的な事件やミスを防ぐ必要がある。このような衝突は、どの国の利益にもならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年1月31日