昨年11月に中共の新指導部が発足して以来、「中国の夢」という言葉が正式に政府用語に採用され、人気も急上昇している。だが中国は肝要な問題に答えなければならない。華夏(中国の古称)の広大な大地に、ないしは広く豊かな中華文化圏内に、共通認識を十分に集め、人心を向かわせることのできる夢の支点はすでに備わっているのだろうか?このような共通の支点がもしなければ、中国の夢は蜃気楼となってしまうだろう。(文:偉達。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
いわゆる「共通の支点」に関して、まず夢の動力源について考察すべきだ。夢である以上、まだ実現していないが人々が実現に向けて努力している事に関係し、かつ強い奮闘の動機と原動力を生み出すものであるはずだ。
欧州を例に取ると、欧州は第2次世界大戦で大きな痛手を負ったが、それでも戦後、発展への強烈な動機を大きく3つ持っていた。すなわち欧州統合の実現、経済復興の推進、「冷戦」の脅威の除去だ。これは当時の欧州人の夢だった。
だが1990年代以降、ソ連が崩壊し、脅威が取り除かれ、経済が復興し、EUも創設されると、欧州は「物は壮んなれば則ち老ゆ」という中国の道家の箴言の通り、物質享受主義と福祉社会の美しいバブルへと不意に滑り落ち始めた。夢はなくなり、動力は続かなくなった。欧州は現在も2008年に起きた世界金融危機の暗い影の下で調整を行っている。
このため欧州は中国を羨望している。中国人民は過去150年間の立ち後れた屈辱的な運命を変えるために依然たゆまず奮闘しているからだ。もっと広い意味から言うと、中国は長い歴史を持つ文化から全面的な現代化への移行、民族の創造力と指導力の復興をいかに実現するかについて今も上から下まで探求を行っている。
中国の夢の実現への中国人民の動力は強烈かつ差し迫ったものだ。これは改革開放からようやく33年になる中国が、すでに飛躍的な進歩を遂げることができた理由を巨視的に力強く説明するものでもある。