ワシントン・ポストによると、2011年から2012年までに軍内部で起きた性的暴行事件のうち、最終的に判決にまでいたったのは10分の1に過ぎない。米国防総省の報告は大多数の事件は最終的に軽微な、行政的処罰に止まり、うやむやに終わることさえあるとした。これについて、すでに一部の上院議員が軍の法規を見直し、性的暴行事件の判決を後押しし、被害者への法的支援を強化する法案を準備している。だが現在の議論の焦点は、軍内部の性的暴行事件を処理する権力を将校が持つべきかどうかだ。ヘーゲル長官と軍上層部は共に、軍の法規を見直し、性的暴行事件を処理する権力を将校の手から検察官と裁判官に引き渡すとの一部上院議員の案に反対を表明している。判決権の移譲は監督を一層弱めるだけというのがその理由だ。だがヘーゲル長官は、今後は軍内部の性的暴行事件を軽く処理できる軍幹部の権力を弱めると約束もしている。
昨年のサンダンス映画祭で上映された、軍内部の性暴力を暴いたドキュメンタリー映画『The Invisible War』によって、民衆は米軍の性暴力事件を知ることとなった。映画では被害を受けた米軍の女性兵士70人余りが自らの経験を語り、最前線で性暴力に遭う確率は戦死する確率よりも高いと訴えた。勇敢にカメラの前に立ち、戦友に強姦や輪姦された経験を語った女性兵士は、心の傷に触れた時、耐えきれず涙をこぼした。報道によると軍の心理学者は「女性兵士らは国を守る理想を抱き入隊した。性暴力そのものだけでなく、軍が犯罪をかばったことにも傷ついている。軍内部で信頼していた仲間に裏切られ、心に極めて大きな傷を負っている」と指摘した。
「人民網日本語版」2013年5月10日