中国の習近平国家主席はトリニダード・トバゴのカルモナ大統領の招待で、5月末に同国を公式訪問する。中国の国家主席が同国および英語を公用語とするカリブ海地域の国を訪問するのは39年前の国交樹立以来初。両国関係において一里塚的意義を持つ重大な出来事であり、中国にとってはカリブ海諸国との関係発展に積極的に尽力する重大な外交活動でもある。(文:黄星原・駐トリニダード・トバゴ大使)
「トリニダード・トバゴ」という国名を完全に暗誦でき、かつその位置を正しく指すことのできる人はまだ多くないかもしれない。「習主席は今回の外遊で、なぜトリニダード・トバゴを選択する必要があったのか?」と問う声もあるかもしれない。
中国は数多くの発展途上国との友好的つきあい、誠実な協力、共同発展、困難の克服に向けた連携に長年尽力してきた。これにはカリブ海地域で外交関係のある国も当然含まれる。中国外交が成功した理由は、ある重要な理念と切り離せない。すなわち「大小や貧富に関わらずどの国も平等。遙か遠く離れていても隣国のごとし」である。
トリニダード・トバゴは確かに大きい国ではない。国土面積は中国の上海からさらに崇明島を差し引いたほどしかない。だが私が伝えたいのは、トリニダード・トバゴはカリブ海地域の重要な国であり、この地域における中国の重要な協力パートナーでもあるということだ。独立以来51年間、トリニダード・トバゴは主権と独立を堅持し、民族経済を発展させ、国民の生活水準を高め続けてきた。1人当たりGDPは2万ドル近くに達する。カリブ海諸国との団結・協力も強化し続け、地域の安定と発展を促進し、世界各国との友好協力関係の発展に努力している。今年7月にはカリブ共同体の議長国となった。地域、さらには国際舞台でさらに重要な役割を発揮するはずだ。
トリニダード・トバゴは早期に中国と国交を樹立し、中国の国連での合法的地位の回復を支持したカリブ海諸国の1つであるうえ、1974年の正式な国交樹立以来、「1つの中国」政策を堅持し続けている。国交樹立以来、両国は政治、経済、文化など各分野で広範な交流と協力を行ない、両国関係は健全で安定した発展基調を維持し続けている。今世紀に入ると両国関係は急速な発展の軌道に入った。2005年に「互恵発展の友好協力関係」を確立したことは、相互関係に対する両国政府の高度の重視、積極的な姿勢を十分に示すものだ。