「会議出席騒動」を前に、英オックスフォード大学の天文学者、クリス・リントット氏は「まるで冷戦時代に戻ったかのようだ」と語った。独誌シュピーゲル電子版は「NASAのやり方は米国の価値体系を破壊した。政治的悪だくみだ」と指摘。英誌エコノミストは米国の「国際宇宙ステーション」は少しも「国際」でないと皮肉り、科学研究の進展への影響を懸念した。この記事の見出しが「中国人?歓迎されません」だったことは示唆に富む。
米スタンフォード大学フーバー研究所のティモシー・ガートン・アッシュ研究員はロサンゼルス・タイムズへの寄稿で「米国には第1次大戦後のように、米州を固守する無関心状態に定期的に引きこもる歴史がある。だが今回は違う。現在の引きこもり姿勢にも、こうした歴史的淵源はある。だがこの国は国際舞台で急激に台頭するのではなく、相対的に衰退している。1920年代には米国人は『台頭する中国』に打ち負かされることを心配していなかったが、今は心配している」と指摘した。
より豊かで、より力のある中国は、相対的に貧しく、弱くなった米国を意味するのか?これは米国人の直面する「時代の命題」だ。英紙フィナンシャル・タイムズ論説員は、米国はこのために「焦慮の時代」に足を踏み入れてすらいると指摘した。大きな焦慮はまだ圧倒的結論を派生してはいない。現時点ではまだ「繁栄する大国としての中国の登場を歓迎する」というのが米政府の表明する公的姿勢だ。
だが、この姿勢表明がどれほど本心なのかは明らかだ。米国が昨年末に発表した報告書「グローバル・トレンド」は、2030年には米国は「世界をリードする」力を失い、中国が世界最大の経済大国となる可能性があり、アジアが世界の「権力の中心」になると、やや憂慮気味に指摘した。注目に値するのは報告書をまとめたのが米国家情報会議(NIC)だということだ。