米国は安倍氏に対して、敏感な議題において細心の注意を払い、歴史の遺留問題がきっかけで韓国国民の間にこれ以上の敵意が生まれることを避けるよう求めた。ホワイトハウスが懸念しているのは、韓国の日本に対する終わりなき罵倒が、地域の平和を願う日本の温かい民衆の心までも遠ざけてしまうのではないかということだ。彼らは日本とアジアの国々との和解を強く求めている。多くの日本人は、日本はこれまで韓国に充分な謝罪をしており、「従軍慰安婦」の賠償に関しては日本の国民がかつて110億円を投じて設立した「アジア女性基金」の存在を忘れたのではないかと考えている。この基金の半分以上の資金が、「従軍慰安婦」当事者への賠償金やその他の援助に役立ててほしいと寄せられた日本の国民の寄付金であることは確かなのだ。
また、ソウル高等法院と釜山高等法院が三菱重工に対して第二次世界大戦中の強制労働被害者に賠償金支払うよう命じる判決を言い渡したが、これには本来中立的な立場をとっていた日本人を含め多くの日本人が憤りを表している。なぜなら日韓両国は1965年の国交正常化の際に、日本は韓国に巨額の経済協力資金を援助する代わりに、韓国も賠償請求の権利を放棄するという取り決めを交わしているからだ。
多くの日本人が、1965年に交わした条約は日韓関係の発展の基盤であり、韓国政府は当時調印した条約に基づき、自国の裁判所が出した誤った判決を見直す必要があると考える。
日韓関係改善の上に米国が積極的な役割を果たすことを望む声は多いが、米国は終始中立的な立場を貫いている。韓国の朴槿恵大統領が先日の欧州訪問時に、改めて日本に対して口頭で非難したことを鑑みると、近い将来の日韓ハイレベル対話は望めないだろう。しかし、朝鮮の核兵器とミサイルの脅威はすでに深刻な水準に差し掛かっているため、少なくとも外交上の事務レベルでの情報交換は維持する必要があるだろう。そして米国が担うべき役割は、双方が歴史の遺留問題と地域戦略という二つの議題を明確に区別し、事柄の順序をしっかり見極めさせることではないだろうか。
同時に、安倍氏率いる日本の指導者は、北東アジア地域の環境のさらなる悪化を避けるべく、過激な言動を慎まなければならない。これも米国が最も望むところでろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月17日