東中国海の防空識別圏を巡る中米日の駆け引きにおいて、米日の立場に不一致が見られた。中国が防空識別圏を発表してから、日本の米国に対する信頼は強まるどころか、むしろ弱まった。中国は米日軍事同盟の弱体化と瓦解に向けて、積極的に仕掛けるべきだ。
今回の三カ国の駆け引きにおいて、米国の対中政策に対する日本の影響力が大幅に低下したことが示された。日本は中国に対する要求を米国に支持させる効果的な手段を持たず、さらに自国の意見を米国に押し付ける力を持たない。安倍首相は米日共同で中国に服従を迫り、防空識別圏を撤回するよう求めた。バイデン米副大統領は、中日は「危機管理枠組みと効果的な意思疎通のルート」を構築するべきだと呼びかけた。これはあたかも日本に対して、中国の防空識別圏はすでに設定されており、撤回する必要はなく、意思疎通を強化すれば良いと言っているかのようだ。つまり東中国海の防空識別圏に関して、日本が米国を左右する動きは少しも見て取れない。
さらに重要な事に、米国の自国の利益に対する関心は、同盟国の利益に対する関心を大幅に上回ることが示された。中国の防空識別圏の設定を米国は不快に思っており、意地を張るようにして真っ先にB-52を派遣し、東中国海の防空識別圏を通過させた。しかし米国は、本件はここまでであり、中米関係を脅かす程度までエスカレートできないことを理解している。米国は小さな同盟国の言いなりになりたがらず、中国に飛行計画を提出するよう国内の航空会社に促し、中日の意思疎通の強化を呼びかけた。この手段により、日本の政治家の利益を巡る訴えは、オバマ政権にとって一銭の価値もなくなっている。