「中国は人類に対してより大きな貢献をすべきだ」。これは1956年の「孫中山氏を記念する」での毛沢東の呼びかけだ。だがほどなくして、中国と世界との関係の矛盾は様々な「中国脅威論」「中国責任論」に集中し、西側発言力覇権システム下で中国の置かれた厄介な立場が浮き彫りになった。(文:王義桅・チャハル学会シニアフェロー、中国人民大学教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
現在では、中国に対して日増しに高まる世界の期待と立ち後れた中国の国際能力との矛盾が、中国と世界との関係の主たる矛盾の1つとなっている。中国海軍はシリアの化学兵器の国外廃棄のために海上護衛を行っている。王毅外交部長(外相)が中東地域をシャトル訪問し、中国は中東で独自の役割を発揮している。次々に増える事実は、中国がより大きな、独自の国際的役割を発揮することが大きな趨勢であることを物語っている。
中国は世界で唯一の、四重の位置づけを持つ国だ。社会主義中国、東洋文明の歴史ある国、発展途上の大国、新興国だ。中国の位置づけの多重性は、中国の夢の内容の多重性に表れている。
第1に、社会主義の夢。国内的には共同富裕化を追求し、国際的には公正・正義を追求することに、社会主義の夢としての中国の夢の性質が示されている。
第2に、東洋文明復興の夢。中国の夢は中華文明の復興と同時に、西側発言力覇権の衰退と、東洋が西洋に従属する歴史の終結を宣告する。
第3に、発展途上国の発展の夢。中国の夢が実現に成功すれば、必然的に他の途上国は自らの国情に沿った道を歩む勇気を得て、西側の発展モデル、制度、価値観が普遍的なものであるとの神話が打破される。
第4に、新興大国の夢。中国の夢は新興大国の夢の表れであり、必ずや新興大国の集団台頭を鼓舞し、共に国際関係の民主化を推進し、国際秩序のより公平で合理的、包摂的な方向への発展を促すよう中国と他の新興大国を鼓舞する。