第一次世界大戦の勃発から100年目にあたる今年、第一次世界大戦を振り返る国際世論や学術界が多くなり、欧州ではある見解が広まりつつある。今の東アジアと第一次世界大戦前の欧州が類似しており、今の中国は当時のドイツのようだという見方で、釣魚島(日本名・尖閣諸島)がサラエボになる可能性があるという声まである。この論理に沿って答えを導き出すと、東アジアと世界の未来は人々を不安にさせる。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の勃発を当時の世界はまったく予想していなかった。第一次世界大戦前の欧州経済は相互依存度が非常に高く、戦争になるはずがないと考えられていた。また、第二次世界大戦前夜にミュンヘン会談が開かれ、欧州世論はチェンバレン英国首相を英雄とみなし、彼が「恒久の平和をもたらしてくれた」と考えていた。この2回の現実を無視した楽観的教訓は実に悲惨だった。そのため平和と発展が時代のテーマとなったことを、その後の世界は長い間信じられなかった。
前の失敗を繰り返すのではと心配し、反省することは大切だ。歴史は常に是正と曲折を繰り返しながら前に進む。しかし単純な類似は、真実の錯覚をもたらす。第一次世界大戦と第二次世界大戦にはまだ最大の教訓がある。それは世界の主流世論の国際情勢に対する集団的な判断ミスだ。この教訓を、われわれはまだ深く汲み取っていない。
第一次世界大戦前の欧州を今の東アジアに強引に重ね、多くの類似点を見出すことはそう難しくない。今の中国は、当時のドイツと同じ台頭する新興大国だ。しかしこの100年の世の中の移り変わりは激しく、この100年の人類史の飛躍的な発展はそれまでの5000年を上回る。時代の背景からかけ離れた比較は捻じ曲がったもので、歴史経験主義は過去に何度も我々を誤った道に導いた。
第一次世界大戦は国際的な無政府状態の下、「裏社会組織」が全世界で植民地盤を争った。今の世界は整った仕組みによって自由貿易と大国間の平和的な競争が確保されている。当時のドイツは戦争を通じて英国やフランスから食べ物を奪う必要があったが、今の中国は西側の決めたルールの中で、互恵・ウィンウィンを通じて自らの発展を図ることができる。
どうしても類似点を探すなら、安倍首相が治める今の日本は第二次世界大戦前のドイツにそっくりではないか。いずれも戦後の体制に不満を持ち、それを打破し、「正常な国」になろうと焦り、国内ではナショナリズム感情を煽ることで支持率を維持し、いずれも強力な産業技術基盤などがある。西側は中国に対する警戒心の多くを日本に投じるべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年1月19日