「米国は世界の問題で積極的な役割を果たす、平和で繁栄する中国の台頭を歓迎する。中国を抑え込む意図は断じてなく、中国との積極的、協力的、包括的な関係の構築を探るべく尽力している」。中米国交樹立35周年にあたり、ケリー米国務長官は北京を訪問して、このようなメッセージを発した。(文:王義桅・チャハル学会シニアフェロー、中国人民大学国際問題研究所所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中米の新型の大国間関係の本質は、中米関係を「予言の自己成就」へと導かないことにある。もし米側が中国の並々ならぬ心配りを理解し、中国と共に大国間関係の新モデルを切り開くことを決意すれば、われわれはその実現を楽観視できる。ケリー長官の発言は、新型の大国間関係の構築という中国側の提言への正式な応答だ。
新型の大国間関係の特徴は非衝突・非対立、相互尊重、協力・ウィンウィンだ。この点は両国間、地域間、およびグローバル・ガバナンスの各レベルの問題での意思疎通に適用される。中米関係は二国間の範疇を超えた、地域的意義、グローバルな意義を備える関係なのだ。
まず、非衝突・非対立。2400年前、西洋文明の発祥地であるギリシャではアテナイの台頭が引き起こした、スパルタを中心とするペロポネソス同盟とのペロポネソス戦争が展開された。現代ではこの戦争を「古代の世界大戦」と呼ぶ研究者もいる。歴史家のトゥキディデスは後に守成する大国と台頭する大国との関係を「トゥキディデスの罠」と呼んだ。中米は「大国間関係の模範を築く」べきであり、「トゥキディデスの罠」を回避する必要がある。