国連安全保障理事会は15日、アメリカが提出したクリミアの住民投票を無効とする決議案の採決を行いましたが、ロシアが拒否権を行使したため否決されました。
ロシアのチュルキン国連大使は投票前にロシアの立場を説明し、同時にクリミア地区の歴史を振り返り、「ロシアはクリミア市民の意志を尊重する」と発言しました。当日の投票結果は賛成13票、否決1票、棄権1票で、中国は棄権しました。
中国の劉結一国連大使は採決後に、「中国はウクライナ問題で公正かつ客観的な態度をとっている。今後も引き続き平和協議を促し、ウクライナ危機の政治的解決に向け建設的な役割を果たしていく」と話しています。問題の解決に向け、劉大使はさらに、「①各国の参加による国際協調体制をいち早く設立し、ウクライナの政治的危機の解決を目指す道筋を検討すること。②この間、各国とも事態をさらに悪化させる行動をとらないようにすること。③国際金融機関は、ウクライナの経済と金融の安定に向けた話し合いを始め、それに協力していくこと」を提案しました。
この上で、「中国はこれまでずっと、ウクライナ情勢を緩和させるため、建設的な努力をし、それに向けて斡旋するよう国際社会に呼びかけてきた。いくつかの新しい進展が現れ、新しい提案も行われたことに我々は注目している。安保理がこのタイミングで決議案の採決に踏み切ることは、対立を引き起こし、事態をさらに複雑にするだけだ。これはウクライナ国民と国際社会の共通した利益には合致しない。以上の考えから、我々はこの決議案に棄権票を投じざるをえない」と話しました。
「中国国際放送局日本語版」2014年3月16日