世界銀行国際比較プログラム(ICP)が公表した中国がまもなく米国を抜いて世界最大の経済大国になるとの結論が大きな話題になっている。中国は世界最大の大国となることをあまり受け入れたくないようで、同統計局は世銀の結論は中国の物価水準を過小評価しているとの見方を示した。この研究の主な方法論は非貿易財を調整後に比較し、ある程度の比較可能性を維持している。購買力平価(PPP)で算定すると、中国経済の購買力は名目GDPを大きく上回るとされている。これまで中国のGDPがPPP換算で米国を抜くのは10~15年後と予測され、中国の原油の輸入量も2016年に米国を抜くと予測されていた。英フィナンシャル・ タイムズ紙中国版が伝えた。
研究によると、2005年の中国のGDPは米国のわずか43%であったが、世界銀行が今回一部の方法を修正すると、中国の2011年のGDPが米国の87%とかなり接近した。このペースでいくと、中国は今年米国を追い抜く。
中国人の生活水準と質の改善にともない、中国の「体積」が世界を驚愕させ、より大きな影響力で世界市場をリードするのは間違いない。これは世界経済の発展史上において独特の現象となる。人口が多いため、一人あたりの平均収入のちょっとした変化が需要に大きな影響を与える上、中国の経済成長はなお世界の平均成長率を大きく上回っている。同じく人口が多いため、中科学技術の運用にしても、インフラ投資のリターンにしても大きな乗数効果があり、こうした影響力は中小規模の経済国では望めない。
そのため中国の実際の購買力が米国の一人あたりの水準と大きくかけ離れていても、中国の中産階級の台頭が世界経済に大きな影響を与える。中国の約3億1000万人の一人あたりのGDPは7000ドルを上回り、この人口は既に米国を上回る。例を挙げると、中国の一人あたりの自動車保有台数は米国の水準に達していないが、中産階級の自動車保有台数が増えれば、中国は容易に世界最大の自動車市場になり、世界の自動車産業チェーンに重大な影響を与える。
ただ人口の多さは大きなデメリットでもある。中国の一人あたりの購買力は米国を大きく下回る。世銀の換算でも、中国の一人あたりの購買力は米国のわずか20%前後。中国人の実際の生活水準は米国と大きな開きがあるということでもある。日本は1991年のバブル崩壊前の1960年から1991年の経済成長率は6.0%前後と米国の3.6%を上回っていたが、1980年になると日本の一人あたりの購買力は米国の70%の水準に安定し、今でも顕著な向上は見られない。ドイツの一人あたりの購買力も1980年頃から米国の75%前後を維持し、この30年目立った進歩はない。これらの経験から、米国を抜くのはかなり難しいということがわかる。ここで指摘しておきたいのは、一人あたりの所得の差と一人あたりの人的資本及び固定資本が深く関係しているということだ。中国の投資過剰を唱える人はこの点に注意すべきだ。一人あたりの所得の差を縮めるには、中国は特に人的資源と科学技術に力を入れる必要がある。そうでなければ現在の日本やドイツ、米国の一人あたりの所得水準に到達するのにもっと時間がかかるだろう。
中国にとってGDPの拡大は、より多くの国際的責任を担うことを意味する。一方、世界も中国の台頭を認め、中国にふさわしい国際的地位を与えるべきだ。今の国際情勢をリードする米国は中国を包囲・封鎖するのではなく、中国と新たな大国関係を築くことが経済のファンダメンタルズにふさわしい選択となる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年5月16日