最近のアジア信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議、ウクライナ問題、サイバーセキュリティー問題などによって、中米露という大国がいかに共存すべきかという問題が再び眼前に突きつけられている。理論的には、中米露三国が全てのわだかまりを捨てて一致協力し、地域さらには世界の平和のバラストとなるのが理想だが、この状態の実現は極めて困難だ。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究所国際戦略研究部副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
現実は決して楽観できるものではない。最近、米国、ロシア、中国の3大国は頻繁に「働きかけ合い」をしている。米国は一歩一歩迫ってきていると言える。ロシアに対しては、ウクライナ問題で制裁を追加すると脅すとともに、天然ガスの対露依存を減らすよう欧州諸国を煽っている。中国に対しては、東中国海や南中国海の領有権争いを自らの目的に利用し、しきりに一方の肩を持ち、中国の「挑発」を公然と批判している。最近ではサイバーセキュリティーカードも切り、事実を捏造して中国軍将校5人を起訴した。
米国の威圧的姿勢を前に、中露は原則を堅持して悠然と対処。米国が懸念するようにどんどん接近している。先日のプーチン大統領訪中で、中露は「重みのある」共同声明を発表した。主権維持、領土保全、国家安全保障といった両国の核心的利益に関わる問題でこれまで同様に支持し合っている他、ウクライナ、情報セキュリティー、多国間協力体制など重要かつ差し迫った問題でも一致した立場をとっている。同時期に、陸上と海上で合同軍事演習も行った。
しばらくというもの、大国間の利害衝突と駆引きが国際社会の焦点となっている。「中米の新型の大国間関係は深刻な危機に」「中露が同盟を結び米国に対抗」「新たな冷戦が目前に」などと誇張し、悪意ある扇動的報道をするメディアがある。実際には、ひとたび世界の平和・安定状態が崩れれば、どの大国も勝者になれないということは誰もがよく分かっている。現下の情勢では、互いに勘ぐり合うよりも、大国共存の道をよく考える方がいい。