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japanese.china.org.cn | 19. 06. 2014

白書:「一国二制度」の香港 特別行政区における実践

タグ: 一国二制度 香港 特別行政区 実践

五、「一国二制度」の方針・政策を
  
面的かつ正確に理解すること

「一国二制度」は画期的な事業であり、中央にとっては国政運営の重要な課題であり、香港と香港同胞にとっては重要な歴史的転換である。香港特別行政区の各事業が全面的な進展をとげると同時に、「一国二制度」の香港での実践も新たな状況と新たな問題にぶつかっている。香港社会の一部の人たちはまだこの重要な歴史的転換に適応できず、とくに「一国二制度」の方針・政策と基本法に対してあいまいな認識や一面的な理解しかもっていない。現在、香港で見られる経済社会や政治制度発展の問題におけるいくつかの正しくない観点は、みなそれと関係がある。ゆえに、「一国二制度」の香港特別行政区での実践を引き続き推進するには、国家の主権、安全、発展の利益を守り、香港の長期にわたる繁栄と安定を維持するという根本的な宗旨から出発し、「一国二制度」の方針・政策を全面的かつ正確に理解し貫徹しなければならず、一つの国という原則の堅持と二つの制度の相違の尊重、中央の権力の維持と特別行政区の高度な自治権の保障、祖国大陸部の強固な後ろ盾の効果を発揮することと香港自らの競争力を高めること、これらを有機的に結びつけ、いかなる時でも一方をおろそかにしてはならないのである。

(一)「一国二制度」の含む意味を全面的かつ正確に把握する

「一国二制度」は一つのまとまりをもった概念である。「一国」とは、中華人民共和国の中で香港特別行政区は国の不可分の一部分であり、中央人民政府の直轄下にある地方行政区域であるということを指す。中華人民共和国は単一制度の国家であり、中央政府は香港特別行政区を含むすべての地方行政区域に対して全面的な統治権をもっている。香港特別行政区の高度な自治権は固有のものではなく、その唯一の源は中央政府からの授権である。香港特別行政区が享有する高度な自治権は完全な自治ではなく、また分権でもなく、中央が授与する地方事務の管理権である。高度な自治権の限度は、中央がどれだけの権力を授与するかによって決まり、香港特別行政区はそれに応じた権力を享有することになり、いわゆる「余剰権力」は存在しない。同時に、憲法は国家の根本的制度が社会主義制度であることを明確に定め、また国家の基本的制度、指導的核心、指導思想などの制度と原則も定めている。「一国」の原則を堅持するにあたって最も根本的なのは、国の主権、安全、発展の利益を守り、国家が実行する根本的制度およびその他の制度と原則を尊重することである。

「二制度」は、「一国」の中で国家の主体は社会主義制度を実行し、香港など一部の区域は資本主義制度を実行することを指す。ゆえに、「一国」は「二制度」を実行する前提と基礎であり、「二制度」は「一国」に従属しそこから派生するとともに、「一国」の中に統一されている。「一国」の中の「二制度」は決して同じウェイトではなく、国家の主体は必ず社会主義制度を実行しなければならず、これは今後とも変わらない。この前提のもとで、実際から出発し、香港などの一部の区域の歴史と現実の状況を十分に考慮して、それらの区域が長期にわたり資本主義制度を維持することを認める。したがって、国家主体が社会主義制度を堅持することは、香港が資本主義を実行し、繁栄と安定を保つための前提と保障である。香港が従来の資本主義制度を引き続き保ち、香港基本法に基づいて「香港人による香港の管理」と高度な自治を実行するには、必ず「一国」の原則を堅持するという前提のもとに、国家主体が実行する社会主義制度を十分に尊重し、特に国家が実行する政治体制およびその他の制度と原則を尊重しなければならない。大陸部は社会主義制度を堅持すると同時に、香港が実行する資本主義制度を尊重し包容しなければならず、また香港の経済発展や社会管理などの面での成功経験を参照することもできる。「一つの国」の中に「二つの制度」がある以上、互いに尊重し合い、互いに参照し合うのでなければ、長期にわたって調和的に共存し、ともに発展することはできない。

(二)断固として憲法と香港基本法の権威を守る

憲法と香港基本法はともに香港特別行政区の憲制の基礎を構成している。憲法は国家の根本的法律として、香港特別行政区を含む中華人民共和国の領土範囲内で最高の法的地位と最高の法的効力をそなえている。香港基本法は憲法に基づいて制定されたもので、香港特別行政区の制度を定めた基本的法律であり、香港特別行政区での憲制的法律の地位をそなえている。香港特別行政区の制度と政策はいずれも香港基本法の規定を根拠とする。香港特別行政区の立法機関が制定するいかなる法律も、みな香港基本法と抵触してはならない。香港特別行政区の行政、立法、司法行為はすべて香港基本法に合致しなければならない。香港特別行政区の個人およびすべての組織・団体は必ず香港基本法を活動の準則としなければならない。同時に、香港基本法は全国的法律として、全国的範囲で適用される。

香港基本法の諸規定を全面的に把握し、全体として理解しなければならない。香港基本法のすべての規定は香港特別行政区制度の有機的な構成部分であり、各条文間は孤立しておらず、互いに関連しており、香港基本法の一つ一つの条文は必ず全体的な規定の中に置いて理解し、香港特別行政区制度の体系の中に置いて把握しなければならない。香港基本法施行の実践が物語るように、香港基本法の具体的条文を孤立して理解し、一つの方面を強調してもう一つの方面を見落とすなら、紛らわしい解釈ないしは認識上の偏向が生じ、香港基本法の施行は深刻な打撃をこうむるだろう。香港基本法の各項の規定を全面的に理解すれば、特別行政区制度の各構成部分が互いに組み合わさって有機的な全体を構成し、香港住民の基本的権利と自由、香港の繁栄・安定を保障する役割を果たしていることが見てとれるはずである。

全国人民代表大会および同常務委員会の香港基本法に対する改正権と解釈権を尊重し、擁護しなければならない。香港基本法は、香港基本法の解釈権は全国人民代表大会常務委員会に属し、改正権は全国人民代表大会に属すると定めている。香港基本法は同時に次のように定めている。香港特別行政区の裁判所は案件を審理するにあたって、基本法における香港特別行政区の自治範囲内の条項について解釈することができ、またその他の条項についても解釈できる。このような解釈権は全国人民代表大会常務委員会の授権によるものである。もし香港特別行政区の裁判所が案件を審理するさいに、香港基本法の中央政府の管理する事務または中央と香港特別行政区との関係に関する条項について解釈する必要があり、また当該条項の解釈が案件の判決に影響する場合、当該案件に対し上訴できない最終判決を行う前に、香港特別行政区終審裁判所は全国人民代表大会常務委員会に関係条項について解釈するよう要請しなければならない。全国人民代表大会常務委員会が解釈を加えた条項を香港特別行政区の裁判所が引用する場合、全国人民代表大会常務委員会の解釈に準拠しなければならない。これは香港特別行政区の法的地位と一致している。全国人民代表大会常務委員会が法に基づいて基本法の解釈権を行使することは「一国二制度」と香港の法治を守るための当然の道理であり、特別行政区が基本法を実行することに対する監督であるだけでなく、また特別行政区が高度な自治を実行することに対する保障でもある。

香港基本法の施行にかかわる制度や仕組みを整備することは、香港基本法の権威をよりよく維持するのに役立つ。香港基本法の施行以来、それにかかわる一連の制度や仕組みがすでに成立し、整備されてきた。たとえば、行政長官の選出方法および立法会の選出方法の変更の面では、行政長官が全国人民代表大会常務委員会に報告を提出し、全国人民代表大会常務委員会が決定を下し、立法会が採択し、行政長官が同意し、全国人民代表大会常務委員会が承認あるいは受理するという「5ステップ」の法的手続きを確立した。基本法の解釈の面では、全国人民代表大会常務委員会は自発的に法律を解釈し、行政長官は国務院に報告を提出し、かつ国務院から全国人民代表大会常務委員会に法律の解釈を仰ぎ、特別行政区終審裁判所から全国人民代表大会常務委員会に法律の解釈を仰ぐ、などの関連手続きと作業の仕組みが確立した。特別行政区の立法の面では、全国人民代表大会常務委員会が特別行政区の法律について受理する作業手順を明確にした。特別行政区と大陸部の司法協力の面では、民事・商事の司法文書を互いに送達し、仲裁の裁決や一部の民事・商事の判決を互いに認可、執行するなどの一連の処置について合意した。行政長官が中央政府に責任を負う面では、行政長官が中央に施政報告を行う制度を確立した。 「一国二制度」の実践がたえず前進するのにつれて、香港基本法の施行はますます深まり、香港基本法の施行にかかわる制度や仕組みも必然的にさらに完全なものとなることが求められている。特に、香港の長期にわたる安定維持を考慮し、香港基本法に定められた中央に属する権力をきちんと行使し、中央と香港特別行政区の関係をしっかりと法制化、規範化の軌道に乗せて運行させることが必要である。

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