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japanese.china.org.cn | 19. 06. 2014 |
二、特別行政区制度の香港での確立
憲法と香港基本法が定める特別行政区制度は国がある区域に対してとる特殊な管理制度である。この制度のもとで、中央は香港特別行政区に対する全面的な統治権を擁し、それには中央が直接行使する権力も、香港特別行政区に授権して法に基づく高度な自治を実行させることも含まれている。香港特別行政区の高度な自治権に対し、中央は監督権を有する。
(一)中央は法に基づいて統治権を直接行使する
憲法と香港基本法の規定によれば、中央が香港特別行政区に対して直接行使する統治権の権力主体には全国人民代表大会および同常務委員会、国家主席、中央人民政府、中央軍事委員会が含まれる。全国人民代表大会は香港特別行政区の設置を決定し、香港基本法を制定し、これによって香港特別行政区で実行する制度を定め、さらに基本法の改正権を有する。全国人民代表大会常務委員会は香港基本法の解釈権、香港特別行政区行政長官の選出方法および立法会の選出方法改正の決定権、香港特別行政区の立法機関が制定した法律に対する監督権、香港特別行政区が緊急事態に入る場合の決定権、ならびに香港特別行政区に対し新たな授権を行う権利を有する。香港特別行政区は中央人民政府の直轄下にあり、行政長官は中央人民政府に対して責任を負い、中央人民政府は行政長官と主要官僚を任命し、法に基づいて香港特別行政区にかかわる外交事務を管理し、行政長官に指令を発する権力を有する。中央軍事委員会は香港駐留部隊を指導し、防衛の職責を履行する、などなど。中央は法に基づいて憲法と香港基本法が付与した全面的統治権と憲制の責任を履行し、香港特別行政区を実効的に統治する。
――香港特別行政区の政権機関を設立する。香港復帰の直前、香港特別行政区準備委員会は、香港特別行政区第1期政府推薦委員会を成立させ、推薦委員会は董建華氏を香港特別行政区の第1期行政長官候補者として選出し、中央人民政府はその後直ちに氏を特別行政区初代行政長官に任命した。推薦委員会はさらに臨時立法会の議員も選出した。初代行政長官の董建華氏は終審裁判所(最高裁判所)の裁判官と高等裁判所の首席裁判官を任命した。上述の作業が完成したことで、中央は香港特別行政区の成立と同時に実効的統治を実施することができるようになった。香港の復帰後、中央人民政府は選挙により選出された行政長官候補者の董建華、曽蔭権、梁振英の各氏を、それぞれ第2期から第4期までの行政長官として任命し、さらに歴代香港特別行政区政府の主要官僚の任免を行った。国家指導者が行政長官や政府の主要官僚の就任式に出席し、その宣誓を監督した。
――香港特別行政区行政長官と政府が法に基づいて政治を行うのをサポート、指導する。行政長官は毎年中央政府に対して施政報告を行い、基本法の貫徹・執行の状況など中央政府に対して責任を負うべき事項について報告し、国家指導者は基本法の重要な事項の貫徹・執行について行政長官に指導を与える。中央政府は国務院香港・澳門(マカオ)事務弁公室を設置して国務院が香港・澳門(マカオ)に関する事務を扱う実務機関とし、「一国二制度」の方針・政策や中央の関連指示を貫徹・執行する責任を負い、香港特別行政区政府との業務連絡などの職責を担わせるようにした。また、中央人民政府の駐香港特別行政区連絡事務室を中央政府の香港駐在機関とし、外交部駐香港特派員公署や香港駐留部隊との連絡、香港と大陸部各分野との交流・協力の促進、香港社会各界の人々との連係、台湾関連事務の処理などの職責を履行している。
――香港特別行政区にかかわる外交事務を責任をもって管理する。第一に、香港特別行政区が対外的な往来や協力を積極的に展開するのをサポートする。香港が適切な身分で国際組織や国際会議に参与することをサポートする。香港が各種の重要な国際会議を招致するのをサポートし、香港が国際コンベンションセンター、地域法律サービス・紛争解決センターを発展させるのをサポートする。香港の人たちを国際組織のポストに推薦し、香港特別行政区のパスポートがその他の国や地域でビザ免除待遇を獲得するようサポートし、香港特別行政区政府の海外駐在経済貿易事務所が業務を展開することをサポートする。第二に、国際条約が香港特別行政区に適用されるなどの条約・法律問題を適切に処理する。香港に新たに適用された多国間条約と改正案は170件を超える。香港に授権して対外的に締結した投資保護、民用航空、税収、司法協力などの対外協定は338件にのぼる。香港が国際公約の履行審議を受けるのに協力する。また、香港が経済、貿易、金融、海運、通信、観光、文化、スポーツなどの分野において、「中国香港」の名義で単独で世界各国、各地域および関連国際組織との関係を保ち発展させ、関連協定に調印、履行することをサポートする。香港が対外的に司法協力を繰り広げることに授権、協力する。第三に、外国が香港特別行政区に領事機関あるいはその他の政府機関、準政府機関を設置するのを審査認可する。目下、外国が香港で合意に基づき設置した総領事館は66カ所、名誉領事は73名にのぼる。第四に、香港同胞の海外における安全と合法的権益を全力で守り、香港にかかわる領事保護活動を積極的に展開する。おおまかな統計によれば、2013年末までに、中国の在外大使館・領事館は、合計1万件以上の香港にかかわる領事保護案件を処理した。第五に、外部勢力が香港の事務に干渉するのを警戒、制止する。香港の事務は中国の内政であり、個別の国の干渉的言動に対しては、中央政府は速やかに外交ルートを通じて交渉を行う。外交部は香港特別行政区に特派員公署を設置し、外交事務を処理している。
――香港特別行政区の防衛を責任をもって管理する。中央政府は1996年1月に中国人民解放軍の香港駐留部隊を創設した。1996年12月30日、第8期全国人民代表大会常務委員会第23回会議は『中華人民共和国香港特別行政区駐軍法』を採択した。1997年7月1日午
前0時、香港駐留部隊は香港に進駐し、法に基づいて侵略に対する防御・抵抗、香港特別行政区の安全保障、防衛事務負担、軍事施設管理、関連渉外軍事事項の処理など、防衛上の職責を履行するようになった。香港駐留部隊は法に基づく駐留、法に基づく軍管理を堅持し、真剣にもろもろの防衛任務を果たし、海・空のパトロール、海・空の事故捜索救助演習、各軍種・兵種による合同演習、駐屯地に跨る機動演習などの軍事行動を組織し、国家の主権と領土の保全に力強い保障を与えている。香港駐留部隊はまた香港社会の公益活動にも積極的に参加し、兵営を開放し、香港青少年軍事サマーキャンプなどのイベントを催し、軍と地域の相互訪問交流を強化し、香港駐留部隊と香港住民の相互理解と信頼を深め、威風堂々とした部隊、文明的な部隊という良好なイメージを広く醸成している。
――憲法と香港基本法が付与した全国人民代表大会常務委員会の職権を行使する。第一に、香港特別行政区の立法機関が制定した法律に対して届出審査を行う。2013年末までに香港特別行政区が全国人民代表大会常務委員会に届け出た法律は全部で570件である。第二に、香港基本法付属文書3に列記されている特別行政区において施行される全国的法律についてその追加・削除を行う。現在全部で12の全国的法律が香港基本法付属文書3に繰り入れられ、香港で施行されている。第三に、香港特別行政区に対して新たに授権を行う。1996年、全国人民代表大会常務委員会は、香港特別行政区政府が、その入境事務所を香港特別行政区の国籍申請受理機関に指定し、国籍法とその解釈が定めるところに基づいてすべての国籍申請について処理する権限を授与した。2006年全国人民代表大会常務委員会は、香港が深圳湾通関所と香港側通関所エリアに対して香港特別行政区の法律に照らして管轄を実施する権限を授与した。第四に、香港基本法に対して解釈を行う。全国人民代表大会常務委員会は1999年、2004年、2005年、2011年にそれぞれ、香港の永久住民が香港以外の場所で産んだ中国籍の子女の香港居留権の問題、行政長官と立法会の選出方法改正の法的手続きの問題、補欠選挙で選出された行政長官の任期の問題、国家免除原則の問題などについて、基本法および同付属文書の関連条項に対して解釈を行った。第五に、香港特別行政区の政治制度の発展の問題に対して決定を行う。全国人民代表大会常務委員会は2004年には、香港特別行政区の2007年行政長官と2008年立法会の選出方法の関連問題について決定を行った。そして2007年には、香港特別行政区の2012年の行政長官と立法会の選出方法、および普通選挙の問題について決定を行った。第六に、香港特別行政区の行政長官と立法会の選出方法改正案を承認、届出受理する。2010年、香港特別行政区の2012年行政長官選出方法改正案を承認し、2012年立法会選出方法と表決手続き改正案の届出を受理した。第七に、香港特別行政区の終審裁判所の裁判官と高等裁判所の首席裁判官の任命あるいは罷免についての届出を受理する、などなど。そのほかにも、香港基本法と全国人民代表大会の関連決議に基づいて、1997年7月1日香港基本法施行時に設立した全国人民代表大会常務委員会香港基本法委員会は、大陸部と香港のメンバーによって構成され、香港特別行政区の立法機関が制定した法律が基本法の中央が管理する事務および中央と香港特別行政区の関係にかかわる条項に合致しているかどうか、また付属文書3に列記された香港に適用する全国的法律の追加・削除、および基本法の解釈あるいは改正などの問題について、全国人民代表大会に対して意見を提供する責任を負う。
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