米海軍研究所(USNI)ニュースは18日、「中国が世界最大の軍事演習をスパイ船で監視」という記事を掲載し、注目を集めた。同記事は消息筋の話として、ハワイ沖で実施中の環太平洋合同演習(リムパック)に「招かれざる客」が訪れたと伝えた。記事によると、リムパックに招かれていない中国の電子偵察船が1週間前に同海域に到着し、ハワイ諸島のオアフ島から南の海域で活動中だという。米太平洋艦隊の報道官は18日、中国の偵察船がハワイ沖の公海で活動中であることを裏付けたが、中国船の名称と目的については説明しなかった。
環球時報の記者は20日、中国国防部新聞事務局に問い合わせた。同局は、「中国人民解放軍海軍の艦船による、他国の領海以外の海域での航行は、関連する国際法と国際的な慣例に合致する。中国は海に面する各国の国際法に基づく権利を尊重するが、中国船の法に基づく権利を尊重するよう求める」と表明した。
USNIニュースによると、リムパックは隔年開催で、2014年度は6月26日から8月1日にかけて実施される。20数カ国の2万5000人以上の軍人、50隻の艦船、200機の航空機が動員される。同記事はまた消息筋の話として、「同演習を監視したのは、中国の東調級情報収集艦だ。これは人民解放軍が周辺の艦艇および航空機の電子・通信データを収集するために用いる、3隻の偵察船の1隻だ」と報じた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは19日、「中国は今年リムパックに初参加したが、これは両国の高官から、両国の軍事関係の改善の証左と評価された。しかし中国の偵察船の登場は、両国の緊張関係を浮き彫りにしており、中国との軍事関係の強化に反対する米国の勢力が強硬化する可能性がある」と伝えた。
米太平洋艦隊の報道官は18日、「米太平洋艦隊は中国海軍の偵察船の、米国の領海以外のハワイ周辺海域での活動を常に監視している。同船は米国の領海に入っておらず、国際法の航行の自由に関する規定に合致する。同船はリムパックを妨害していない。米海軍は各国の領海外の公海で、国際法に合致する活動を実施してきた。中国が今行っているのも同じことだ」と指摘した。
中国軍事専門家の張軍社氏は20日、環球時報の記者に対して、「米国メディアは中国の監視を誇張しているが、これには有力な根拠がない。米国の中国に対する監視は高頻度・広範囲で、驚異的とも呼べるほどの程度に達している。米国は黄海、東中国海、海南島、西沙諸島に、軍機、海軍偵察機、海洋測量船、さらには原子力潜水艦を派遣している。米国の中国に対する監視活動は毎年数百回に達しており、冷戦時代の旧ソ連に対する偵察の頻度を上回る。米国と日本の中国に対する偵察活動は、時に妨害を目的としていることがあり、一定の危険性がある。米国メディアが今回の監視をどれほど誇張して伝えようとも、政府側の態度を見る限り、中米軍事関係に影響を及ぼすことはない」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年7月21日