このほど閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)第3回高官会議及び関連会議では、「APEC腐敗対策取り締まり協力ネットワーク」(ACT-NET)の第1回会議が開かれた。中国の腐敗取締活動に大きな便宜を提供する措置となる。「北京青年報」が伝えた。
米国のAPEC高官を務める王暁岷氏は22日、北京で開かれた記者会見で、APEC第3回高官会議及び関連会議で米中両国が腐敗対策の問題を重点的に話し合い、この問題に関する協力ネットワークを構築する意向を双方が示したことを明らかにした。王氏によると、腐敗対策はこれまでもAPECの重要な議題だったが、今年は特に、この議題についての各方面の関心と力の入れようが高い。
腐敗対策協力ネットワークの構築は昨年12月から構想された。ネットワークは、APECの各エコノミーの腐敗対策・取締機関の人員で構成され、APECの腐敗対策活動の枠組みの下に設立される。腐敗がらみの逃亡犯や財産の追跡を重点とした事案協力や経験共有、能力向上を強化することが目的となる。ネットワーク事務局は中国に設けられ、米国が共同代表を担当する。
中国共産党中央紀律検査委員会のウェブサイトは15日、中国監察部が腐敗対策・透明性タスクフォース(ACT)の2014年の議長となり、インドネシアや米国などの腐敗対策機構とともに取り締まり協力ネットワークの設立を推進し、北京で第1回会議を開いたことを明らかにしている。各参加者は会議で、ネットワークの各エコノミーの連絡者情報を共有し、汚職者の逮捕・引き渡しや資産の追跡などの国際協力の手順や事例を検討した。さらにネットワークの枠組みの下で将来、逃亡犯・財産の国際追跡の技術研修や能力強化などの具体的なプロジェクトを展開していくことも話し合われた。
腐敗対策取り締まり協力ネットワークの構築は、アジア太平洋地域における腐敗官僚の海外逃亡や違法資金の海外流失を取り締まる国際協力の強化に重要な意義を持つ。
国務院新聞弁公室が2010年末に発表した「中国の腐敗対策・腐敗なき政治構築白書」によると、中国は腐敗対策分野での国際的な交流・協力を重視しており、国際的な腐敗防止を進める重要な力となっている。白書発表時点で中国はすでに、68カ国・地域と106件にのぼる各種の司法協力条約を締結していた。さらに最高人民検察院は80カ国・地域以上の関連機構と検察協力合意を結び、公安部は44カ国・地域の関連機構と24時間のホットライン65本を開設し、59カ国・地域の警察部門と213件の協力文書を締結していた。また今年7月末までに、中国は51カ国と刑事司法協力の内容を含む条約を締結し、38カ国と犯罪人引渡し条約を結んでいる。
中国は2003年、「国際連合腐敗防止条約」に締約国として参加している。北京大学腐敗なき政治構築研究センターの荘徳水副センター長はこの条約との関係について、「中国はこれまで、『国連腐敗防止条約』の全体的な枠組みの中だけで国際的な腐敗対策活動を行ってきた。だがこのような協力は、国際法や条約の制限を受けることから、国際案件の取り締まりには一定の困難があった。今回の取り締まりネットワークの構築は、条約実現のための具体的な措置と言える」と指摘する。
荘副センター長によると、国際間の腐敗対策協力は、本国の利益を守るためだけのものにはとどまらない。現状においては、イデオロギー上の偏見を乗り越え、腐敗対策活動を各国共同で展開する必要がある。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年8月26日