歴史を尊重して初めて国際法を語ることができる

歴史を尊重して初めて国際法を語ることができる。

タグ: 4つの尊重 歴史 国際法

発信時間: 2014-09-09 14:26:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 中国の王毅外交部長(外相)はオーストラリア訪問中、南中国海問題について「4つの尊重」が必要だと述べた。「歴史上の事実の尊重」「国際法規の尊重」「当事国間の直接対話・協議の尊重」「南中国海の平和と安定の共同維持に向けた中国とASEANの努力の尊重」だ。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載) 

 これに先立ち王部長はすでに様々な場で南中国海紛争解決の重要原則を繰り返し表明してきた。今回打ち出した「4つの尊重」は表面的に見ると新たな政策理念では決してないが、現在の情勢と結びつけると、南中国海問題における中国の立場と譲れぬ一線を読み取ることができる。 

 「4つの尊重」を打ち出した大きな背景として、南中国海の島や礁および海洋権益をめぐる紛争の国際問題化、司法問題化という顕著な趨勢がある。フィリピンは中国の領土主権についての国際仲裁を執拗に推し進めるとともに、米日など域外勢力を引き入れて中国を牽制している。域外勢力は自国の利益の観点から、個別の領有権主張国と調子を合わせ、南中国海問題に頻繁に干渉している。今年8月にフィリピンと米国はASEAN関連外相会議の機を借りて「三段階」構想や「自発的凍結」論をぶちあげ、ASEAN諸国の支持を取りつけようと愚かにももくろみ、「国際法に基づく」南中国海における行動規範の制定を強引に推し進めることで、中国・ASEAN関係を妨害し、対中圧力を強化しようとした。南中国海問題の国際問題化、司法問題化が中国の主権・権益を侵害していることは明らかだ。 

 小さな背景として、「4つの尊重」が第2回中豪外交・戦略対話開催期間に打ち出されたことが挙げられる。オーストラリアは南中国海の領有権主張国でないにも関わらず、南中国海問題について無責任な発言をいくつかしたことがある。2012年の黄岩島(スカボロー礁)事件発生後、オーストラリア外相は中国漁船に対して軍艦を出動したフィリピンを非難しなかったばかりか、反対に中国に「国連海洋法条約を含む国際法に沿った海洋権の尊重」を求めた。今年6月に訪米したオーストラリア首相は「南中国海問題において中国は国際法を遵守すべき」との考えで米側と一致した。オーストラリア側のこうした立場や発言は、すでに南中国海問題の公正な解決に悪影響をもたらしている。 

 こうした状況を念頭に置き、今回中国外交部長は誤った見解を正すべくオーストラリアで「4つの尊重」を打ち出した。「4つの尊重」において「歴史事実の尊重」が最初に挙げられたのは決して偶然ではない。歴史上の事実は、領土主権を決定する重要な根拠だ。南中国海諸島及びその周辺海域に対する中国の領有権には十分な歴史的根拠、法理上の根拠がある。現在中国の台湾では南中国海史料特別展が開催され、南中国海関連の様々な文書、地図、写真が展示されている。大量の史料は、南中国海における中国の主権・権益に強固な基礎があり、現在の係争が1970年代以降に一部の国が中国の南沙諸島の一部の島や礁を不法に侵奪・占拠したために生じたものであることを証明している。数十年間の侵奪・占拠で、長い歴史を抹殺することはできない。 

 たとえ国際法でも、歴史上の事実を変えることはできない。「法の不遡及」、1982年採択の条約はそれ以前に生じた法的事実に対して拘束力を持たない。また、南中国海の歴史的経緯と事実が非常に明白であることに鑑み、中国は条約署名時に同条約第298条に基づき、島嶼の領有権、海洋境界の画定に関わる仲裁は受け入れないとの声明を書面で出している。従って、一部の領有権主張国や域外国が国連海洋法条約を根拠として持ち出すことのできる理由は全くない。ましてや中国はかねてより一貫して国際法と国際関係の準則の揺るぎない擁護者、実践者であり、中国が国際ルールを「破壊している」といった主張がどこから出てくるのか。 

 歴史上の事実の尊重を前提条件として初めて、当事国が交渉を効果的に行い、中国とASEANが南中国海の平和・安定を真にしっかりと維持することが可能になる。域外国および当事国は歴史上の事実の重要性を真に理解し、認識して、実情に即さない幻想を棄て、南中国海の平和・安定にプラスになることを多くすべきだ。(編集NA) 

 

 「人民網日本語版」2014年9月9日

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