中国は1週間で北半球と南半球の2つの貿易パートナーと自由貿易協定(FTA)交渉の実質的妥結を宣言した。習近平国家主席は10日に韓国の朴槿恵大統領と、17日にオーストラリアのアボット首相と関係文書の調印に立ち会った。これは中国が急ピッチで進める自由貿易圏戦略の重大な進展であり、協力・ウィンウィン理念の段階的成果だ。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版「望海楼」掲載)
韓国とオーストラリアはアジア太平洋地域の重要なエコノミーであり、中国と互いに重要な貿易パートナーだ。地図を見ると、中韓FTA、中豪FTAは既存の中国・ASEANFTA、中国・ニュージーランドFTAと併せて西太平洋、南太平洋で「自由貿易の弧」を形成する。
「十年一剣を磨く」。2004年11月の中韓FTA民間研究の始動から現在まででちょうど10年となる。その後、民間研究、産官学共同フィージビリティスタディは少なからぬ困難を抱えたが、双方はFTA妥結への意欲をどんどん高めた。2012年5月のFTA交渉開始発表以降の進展の速さは、多くの人にとって予想外のものだった。特に昨年と今年の両国首脳の相互訪問は交渉プロセスを極めて力強く推進した。同様に、中豪FTA交渉も2005年4月の正式始動から現在までで、すでに10年近くとなる。この交渉も少なからぬ困難な過程を経た。過去1年余り、両国の指導者と各界の支持の下、交渉プロセスは明らかに加速した。
「包括的、高水準で、利益の均衡の取れた」協定の妥結は決して容易なことではない。中韓、中豪の経済・貿易は共に強い補完性を備えるが、各々敏感な産業も抱える。どの国も自国の利益を最大限維持すると同時に、相手国の懸念や利益にもできる限り配慮する必要があり、条件交渉は避けられない。交渉過程では互いに尊重し、対等な協議を行い、双方の共通利益を追求し、「ゼロサム」思考を拒絶して、ウィンウィンを実現する。これが中国側が提唱し続けている協力・ウィンウィン理念の体現だ。結果を見ると、上述の交渉は「包括的、高水準で、利益の均衡の取れた」との目標を達成した。