ファシズムの残虐行為は、全世界の人々に消すことのできない痛みを残した。人類史上最も残酷と言われるこの災難を経て、平和は、全世界の人々の共同の願いとなった。平和や協力、発展、共同利益といった理念は、世界の共通認識となりつつある。歴史を鑑とし、悲劇の再演を防ぐことは、平和的発展の前提である。
ドイツは第二次世界大戦後、誠実で謙虚な態度を貫き、歴史を正視してきた。1971年、当時の西ドイツのブラント首相は、ワルシャワのユダヤ人犠牲者記念碑の前で黒い服でひざまずき、世界に敬意を抱かせた。2005年、ドイツのシュレーダー首相は「ドイツ人の名義」で世界の人々に謝罪し、世界を感動させた。2015年、メルケル首相は、アウシュビッツ収容所の生存者に対し、「あなたは、悲劇を繰り返さないため、当時の記憶を後世に伝えなければならないとおっしゃった。私たちにとっての尊い贈り物だ」と語った。
アウシュビッツは、ファシズムの人類に対する大罪の代名詞であり、ドイツ史上最大の恥辱の記憶でもある。同時に、世界の人々に歴史を正視し、平和を大切にせよとの警鐘を鳴らしてもいる。
事実を認め、相手を尊重し、歴史を反省し、罪を懺悔し、心から謝罪すること。ドイツは実際の行動によって傷を癒やす努力をして来た。だからこそ、深い恨みを持っていたはずのイスラエルは、ドイツと堅い信頼関係を結ぶこととなった。かつて兵器を向け合ったフランスとドイツはともに、欧州の発展の柱となった。ナチスの暴虐を受けたポーランドからは、ますます多くの若者がドイツを訪れ、両国の友好交流の促進に努めている。