米海軍第7艦隊のトーマス司令官はこのほど、日本の空の巡航範囲を南中国海まで拡大することに歓迎を表明した。米国防総省はその後、南中国海の安定に資することを理由に、この発言を支持した。
米国がこうするのは、東アジアの伝統的な主導権を維持し、中国やその他の国によるルール作りを防止するためだ。しかし中国が求めているのは正当な国家の主権と権益であり、特殊な権利を求めているわけではない。中国が南中国海で求めている権利には、歴史的な条件により自ずと形成されたもののほか、南中国海の周辺諸国がこれまで明確に受け入れ、黙認していたものがある。しかしこれらの国は態度を二転三転させ、一方的に現状を変えようとしている。しかしながら中国は係争を棚上げにし、関連国と直接交渉し、互いに譲歩し、共同開発し、ウィンウィンを実現しようとしている。
ところが米国は一部の南中国海の周辺諸国による一方的な行為を支持し、これらの国によって変えられた現状の逆転を許していない。この偏った論理が地域の安息をもたらすことはなく、むしろ不安定な要素をもたらすことだろう。米国は地域外の国家に対して、南中国海の巡航を奨励しているが、これは手先に問題を起こさせ、南中国海の情勢を緊張化させようとする動きだ。米国は日本による南中国海の巡航に対して何度も歓迎を表明しているが、これによって中日の対立を利用し、中国とASEAN諸国の自主的な協議を妨げようとする腹黒い考えを暴露している。
超大国がこれほど無責任な手を使うとは、大国らしさのかけらもなく、物笑いの種になっている。米国は地域の安定という名義により仲違いを促しているが、これは東アジア情勢の主導の継続を促さないばかりか、むしろ米国が地域と世界の安定に公共財を提供する力も、そのつもりもないことを見せつけている。東アジア諸国は、地域の発展と安全には自らの努力が必要で、外部の勢力に火遊びの機会を与えてはならないことを反省する必要がある。(筆者:沈丁立 復旦大学国際問題研究院副院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年2月2日