中日関係から漁夫の利を得る米国、覇権の悲劇は不可避

中日関係から漁夫の利を得る米国、覇権の悲劇は不可避。

タグ: 中日関係 地政学 ユーラシア大陸 リバランス

発信時間: 2015-05-13 14:23:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

「世界島」のユーラシア大陸は近年、地政学の激変の流れを呈しており、特に欧州・中東・アジア太平洋の地政学の持続的な緊張が目立っている。学術界と民間で「地政学の回帰」「新たな冷戦」が熱心に議論されているのは、これと関連している。

アジア太平洋において、米国はいわゆる「リバランス戦略」を足掛かりとし、TPP推進、同盟関係の強化、軍事力の配備の拡大、頻繁な軍事演習により、釣魚島(日本名・尖閣諸島)および南中国海の係争に深く介入している。これは朝鮮半島、中日関係、東中国海・南中国海などの問題を激化させている。東アジアでは、戦略的駆け引きを激化させる大国と、漁夫の利を得ようとし勢いを助長する小国が共存するという、複雑な地政学の流れが生じている。

米国によるユーラシア大陸の地政学の緊張は、国際システムのモデルチェンジに深刻な悪影響を及ぼしている。まず国際システムは、地政学がグローバルガバナンスを脅かし続けるという、複雑な情勢を迎える。地政学の持続的な緊張により、世界の政治は地政学とグローバルガバナンスが共存する局面を迎えている。後者は絶えず前者から脅かされ、食い込まれている。

次に、グローバルガバナンスは細分化された地域のガバナンスから圧力を受け、地政学化している。米国は自ら作った多くの国際的な制度をないがしろにしている。米国が欧州で推進するTTIP、アジア太平洋で推進するTTPが成功すれば、米国が創設したWTOという国際貿易枠組みは非主流化の苦境に立たされる。ゆえにBRICSなどの新興国は、現行の国際制度の改革を求め続けると同時に、新たな国際機関・制度を作らざるを得なくなっている。これによりグローバルガバナンスの地域化・細分化が必然的に生じる。

最後に、地政学の回帰は、大国の「新たな冷戦」の危険性をはらむ。「文明の衝突」の激化、局地的な衝突の多発化、極端なナショナリズム・宗教的過激主義・テロリズムの氾濫、軍備競争の激化といった政治・安全・軍事的リスクが拡大している。これは異論の余地なき事実であり、これ以上強調するまでもない。

国際制度の創設者、グローバルガバナンスの提唱者である米国の、国家管理・グローバルガバナンス能力には根本的な危機が生じている。これはグローバルガバナンスが直面している最大の問題だ。より悲劇的なのは、米国がグローバルガバナンスの流れに逆行し、自らのガバナンス能力の反省と改革を行わず、再び地政学的な手段を使い覇権の衰退を防ごうとしていることだ。これはすべての覇権が逃れられない悲劇なのかもしれない。しかしグローバル化が進む今日の世界において、この悲劇は覇権の悲劇のみならず、世界の悲劇となる。(筆者:上海外国語大学中東研究所教授)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年5月13日

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