米議会上院は現地時間5月12日、賛成52票・反対45票でTPA(大統領貿易促進権限)法案の審議開始を否決した。これはオバマ大統領に貿易促進の強力な権限を与えるべきかという議論を、上院で短期的に停止することを意味する。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉の進捗も、その影響を受ける。
いわゆるTPAとは、米議会が米国政府のために貿易交渉の目標を設定する代わりに、貿易協定が締結した場合直ちにこれを議決することを指す。また内容を修正することもなく、貿易協定の手続きを加速する。
TPP交渉の任期内の終了を目指すオバマ大統領は、目下苦しい局面を迎えている。対外貿易の立場が一致しているため、TPA法案でホワイトハウスは共和党と同じ側に立っているが、「味方」であるはずの民主党によって苦い失敗を味わっている。労働者の利益を重視する民主党の議員らは、TPPが国内の雇用の海外流出を招くと懸念している。同日の投票では、44人の民主党議員のうち1人しか賛成票を投じなかった。
ブルッキングス研究所北東アジア政策研究センターの高級研究員は、米上院の投票結果について、「これでTPP交渉がより困難になった。TPA法案は保険のようなもので、交渉参加国は長い駆け引きの末に締結された協定が、米国内部の審査の段階で勝手に書き換えられることを心配しなくてもよい。TPA法案は完全なメカニズムとは言えず、過去の例を見ると、米議会の交渉やり直しの要求を完全に阻止できないことが分かる。しかしTPAがなければ、米国は良い協定を締結できない。米国と交渉している国は、米国政府が協定を締結したとしても、米国議会の審議を通過できないことを懸念している。これはまた外国政府に対して、敏感な問題の交渉先送りの口実を与えた」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年5月14日