習近平国家主席の9月中・下旬の訪米が、最終準備段階に入っている。これは画期的な意義を持つ訪問であり、新型大国関係の理念とその実践を正式に中米関係に盛り込み、大国関係の新たなページをめくろうとしている。
今回の訪米の歴史的な意義は、その成果がどのような手段と内容によって示されるかにかかっている。中米はこれまで3つのコミュニケに調印するか、発表したことがある。これはニクソン大統領の1972年の訪中で調印された「上海コミュニケ」、1979年に双方が調印した「中米国交関係樹立コミュニケ」、レーガン大統領の1982年の訪中に際し双方が発表した「八一七コミュニケ」のことだ。
中米の最後のコミュニケからすでに30年以上が経過している。この3つのコミュニケは依然として現実的な意義を持つが、その内容が現在の世界および中米関係の基本的な特徴を完全に網羅しないことが知られている。最も重要なのは、中国が成長し、米国に変化が生じ、中米関係の性質と影響が過去と現在では異なっており、世界にも大きな変化が生じていることだ。どのような新たな政治文書により両国関係を導くべきか、これは数年間に渡り両国の高官および戦略学界のブレーンたちの目の前でちらつく問題だった。米国の元国家安全保障担当大統領補佐官のスコウクロフト氏は、2011年1月にNYタイムズに寄せた文章の中で、中米は新たな歴史的なコミュニケに調印すべきだと主張した。
しかし多くの業界関係者は、中米の4つ目のコミュニケに期待していない。米国は、中米の3つのコミュニケは冷戦終了前の「過去の産物」であり、十分な法的拘束力を持たないため、米国の中国に対する行為を束縛する半永久的な鎖になるべきではないと考えている。これは長期に渡り存在する目立った現象だ。米国政府も、自分のために新たな鎖を作ろうとしていない。
カーネギー国際平和基金のダグラス・パール副会長は、「米国が4つ目のコミュニケの調印を検討することはない。米国はこれによって利益を得ることがなく、何の結果も生まない。先見性がなく無能なことが、その形成を妨げている。新たなコミュニケは米中間のすべての問題を再び卓上に上げ議論することを促すが、これは現実的ではなく建設的でもないため、リスクを冒す必要はない」と話した。
カーターセンターの中国問題専門家の劉亜偉氏は、「3つのコミュニケが台湾について触れているからと言って、4つ目のコミュニケを形成できないことにはならない。中米新型大国関係を建設するためには、コミュニケによりこの関係の定義付けをする必要がある」と指摘した。
さまざまな意見が上がっているが、双方の社会において4つ目の中米コミュニケを発表するための、民意の基礎と創造的な雰囲気が形成されていないことを認めなければならない。この創造性は二国間関係の固定観念を超越し、これに世界的な視野を持たせる必要がある。世界的な中米関係は、現在の国際政治における大きな生々しい現実になりつつある。コミュニケは形式に過ぎない。重要なのは両国首脳が中米関係の中身に変化が生じていることを認識し、その中から十分な想像力を手にし、間もなく始まる習主席の訪米日程に「時間的価値」を持たせることができるかどうかだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月9日