李克強総理とASEAN10カ国の首脳は22日午後、中国―ASEAN自由貿易圏高度化交渉の全面的妥結を意味する成果文書の調印に立ち会った。中国にとって中国―ASEAN自由貿易圏高度化「議定書」は現有の自由貿易圏を基礎に完成した初の高度化協定であり、自由貿易圏戦略推進の新たな一歩だ。(文:王文・中国人民大学重陽金融研究院執行院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国は6年連続でASEANにとって最大の貿易パートナーであり、ASEANは4年連続で中国にとって第3の貿易パートナーだ。中国―ASEAN自由貿易圏は2010年の全面始動以来、双方の経済・貿易関係の健全で安定した発展を力強く促してきた。今回の中国―ASEAN自由貿易圏高度化交渉の全面的妥結によって、地域の貿易と投資の自由化・円滑化をさらに推進する基礎が固められ、双方の経済発展に新たな原動力がもたらされる。これはまた、より緊密な中国―ASEAN運命共同体の構築加速、2020年に双方貿易額1兆ドルという目標の実現にとってプラスであり、域内包括的経済連携(RCEP)交渉とアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構築プロセスを促進する。
18世紀以降、経済のグローバル化は2度の波を経験した。第1波は英国主導のグローバル化、第2波は米国主導のグローバル化だ。現在、世界金融危機の深いレベルの影響が依然続き、世界経済は深い調整期にある。これは第2波のグローバル化による発展の運動エネルギーが終わりに近づき、世界経済全体の原動力が不足していることが大きい。また、近年欧米諸国では保護貿易主義のうねりが起き、21世紀の世界経済の持続可能で均衡ある発展を妨げる主要な要因となっている。現時点で国際貿易の成長率は3年連続で世界経済の成長率を下回り、2014年の世界の対外直接投資は8%下降した。世界経済は直ちに貿易と投資を立て直し、この2大エンジンを改めて高速で回転させなければならない。
そして今、中国の自由貿易圏戦略は経済グローバル化3.0時代の創始に寄与する。第13次五カ年計画提言は、自由貿易圏戦略を加速し、RCEP交渉を推進し、FTAAPの構築を推進し、グローバルで高水準の自由貿易圏網の構築に尽力する方針を打ち出した。現在すでに中国はASEAN、チリ、スイス、ニュージーランド、韓国、オーストラリアなど22カ国・地域と14の自由貿易協定を締結。さらにRCEP、中日韓自由貿易協定などの交渉を関係国と共に進めている。また、今回のASEANとの自由貿易圏高度化交渉によって、世界をカバーする高水準の自由貿易網を徐々に築いている。