トルコがロシア機を撃墜、高まる地政学的リスク

トルコがロシア機を撃墜、高まる地政学的リスク。

タグ: トルコ ロシア 地政学

発信時間: 2015-11-25 13:08:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

トルコは現地時間11月24日、ロシアの軍機に領空を侵犯され、10回警告した後に撃墜したと発表した。プーチン大統領は、この行為はまるで「テロの共犯者がロシアを背後から刺したようなものだ」と述べた。本件が報じられると、世界中が騒然とした。危機が重なる中東において、NATO加盟国のトルコがNATOの東への拡張の影響を受けるロシアの軍機を撃墜したことで、中東の地政学的リスクが高まると懸念されている。

意図的な撃墜か?

中国現代国際関係研究院副院長、中東問題専門家の李紹先氏は新京報の記者に対して、「トルコがロシア機を撃墜したのは、突発的な事件だった可能性が高い。各国がテロ撲滅で一致する情勢、ロシアのシリア国内のイスラム国に対する空爆の強気の姿勢を考えると、トルコがこのような場合にわざとロシア機をターゲットとした事件を画策した可能性は低い。これは紛れもなく戦争行為だからだ」と分析した。

李氏によると、トルコとシリア北部は完全に国境を接している。拡張初期のイスラム国では、必要な人員・石油・資源・武器などはトルコを経由する必要があった。トルコが「網」を開かなければ、イスラム国がこれほど急速に拡張することはなかった。トルコがこうしたのは、主に国内のクルド人による武装勢力と現政権の対立によるもので、イスラム国とクルド人の武装勢力がけん制し合うことを願っていた。しかしトルコはこの半年余りに渡り、欧米の圧力やイスラム国の過激化する暴力行為を受け、イスラム国との間に一線を画しており、イスラム国への軍事攻撃に参加した。

ロシアとトルコ、衝突発生の可能性は?

国際関係学院准教授の儲殷氏は、「ロシアとトルコは現実的な利益が重なる点があるが、関係は複雑だ。トルコはエネルギー供給で長期的にロシアからの輸入に依存している。トルコはまたNATOのうち、ロシアに対して実務的かつ温和な態度を持つ国だ。だがトルコは汎イスラム主義国であり、ロシアのシリア国内における軍事行動を認めていない。また双方には、歴史的な感情のもつれが存在する。そのため軍機の撃墜後、双方は互いに批判し、責任をなすりつけ合い、危機管理を実施し本件を比較的あっさり処理することになる」と予想した。

国際問題専門家の黄日涵氏は、「プーチン大統領は強硬派で知られる。ロシアは本件について、外交で強く反発する可能性がある。双方の外交関係は短期間内に大きな影響を受けるが、双方が本格的な衝突に至る可能性は低い。ロシアの中東における軍事行動は、これによって大きな打撃を受けない。ロシアのシリアにおける軍事行動の目的は、バシャール政権の安定化だ。パリのテロ事件の発生後、各国はテロ対策で連携する意向を示している。ロシアは軍事大国として、本件を処理する大きな余地を残している。現行の中東政策を大幅に調整することはなく、むしろこの機に乗じて強化する可能性がある」と分析した。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月25日

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