仏パリの同時多発テロから約1ヶ月が経過するが、過激派組織「イスラム国」のテロリズムの雲が、依然として欧州上空を覆っている。英・独両国の議会はこのほど、イスラム国掃討作戦に参加し、同盟国のフランスを支援することを決定した。
イスラム国の存在に対する深い焦りがあるが、欧州はこれまで軍事力による攻撃をためらっていた。英国とドイツは今回なぜ積極的になったのだろうか?
イスラム国の安全の脅威が、直接的な動機だ。先月のパリのテロ事件発生後、イスラム国のテロリズムの雲が欧州を覆った。同じ欧州の国として、英国とドイツは他人事ではなくなった。
中国国際問題研究院欧州研究所の崔洪建所長は、記者の取材に応じた際に「英独両国がイスラム国掃討作戦に参加するのは、自国の安全を鑑みてのことであり、同盟国のフランスに支持を示す必要があった」と分析した。
中国中東学会の殷罡副秘書長は、「英独両国は、国際的な義務を履行しようとした。国連安全保障理事会は11月20日、力ある加盟国が、国際法に基づくすべての必要な措置を講じイスラム国などのテロリストを掃討するという、フランスから提出された決議案を可決した」と指摘した。
3カ国が共に掃討作戦を展開することには、外部の脅威のほかに、国内の政治的需要という理由がある。
崔氏は、「英国は『脱欧』の重要な時期を迎えている。英国は来年の年初、EUと正式に交渉する。キャメロン政権が『脱欧』を望まなければ、EUとの関係を深める手段を見出さなければならない。フランスのイスラム国掃討の支援は良き機会だ。英国はこれを武器にし、EUとの今後の協議で譲歩を迫ることができる」と分析した。
難民問題、難民政策が疑問視されているドイツのメルケル政権は、フランスのイスラム国掃討作戦を支援することで、国内およびEU内部の反対者の注意をそらすことができる。崔氏は、「メルケル政権はこれによって、難民問題解決の苦境から一時的に脱し、難民政策の推進に向け一定の時間とスペースを確保できる」と判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月8日