エジプトを理解するために中国人はどのような努力をしているか
交流相手をできるだけ理解し、その身分と動機を知ることは非常に重要である。エジプトとの交流において、中国と中国人はいくつかのことをしなければいけないと思う。
エジプト文明はファラオ王朝とともに滅亡したと思っているのであれば、それは大きな間違いである。中国人は中国文明がどれほど悠久で独特、かつ数千年後も活気に満ちているとよく語る。また、中国文明は優れていると考え、それを少しも疑っていない。中国は比類なき国で、その優越感は中国の自己認識と外交政策の基石になっている。エジプトとの交流において、エジプトに対しても同じ見方をすれば、中国はそこから利益を得られるだろう。エジプトは力がピークに達していなくても、文化の優越感を持つ国である。また、地球上で最も歴史のある国の1つでもある。エジプト人は長い間1つの土地に住み、7000年の歴史を有する民族だと自負してきた。エジプトの人類文明への貢献を中国は認めてもよいだろう。現在のエジプト人は外見が祖先と似ているほか、言語にもファラオ王朝の言葉、概念、価値がある。
外の人たちは「アラブ世界」や「ムスリム世界」などの簡単なラベルでエジプトを見るべきではない。エジプトはアラビア語を話し、エジプト・アラブ共和国と名乗っているが、エジプト人とエジプト文明の歴史は更に長く、身分は異なると思っている。エジプト人にとってサウジアラビア、イラク、リベリア、チュニジアの言葉はわかりづらい。エジプト人とその他のアラブ諸国を1つにまとめることは、エジプトに誤ったラベルを貼ることと同じで、その文化の特徴を弱めることになる。
中国人をアジア人と見るのが間違っていないように、エジプト人をアラブ人と見ることに問題はない。しかし、世界のその他の国が中国について言うとき、ただ「アジアの国」とだけ言えば、アジア文化の多様性を無視し、中国の文化の特徴を尊重していないことになるのではないか。中東と区別してエジプトを見れば、中国は自身に合う対エジプト政策から利益が得られるかもしれない。
そのほか、エジプトを「ムスリムの国」とだけ言うのも完全に正しいとは言えない。エジプトのキリスト教徒の数は中東地区で最も多く、イスラエルを除いてユダヤ人が最も多く、成功した地域の1つでもある。エジプトはこれらの文化と宗教で成り立っている。
キリスト教にしても、ユダヤ教にしても、ムスリムにしても、エジプト人はまず自分はエジプト人だと思っている。エジプトでは全ての現代宗教と古代宗教が共鳴している。エジプトの歴史はユダヤ教、キリスト教、イスラム教より長いことを覚えておいてほしい。エジプトでユダヤ教が生まれた。また、エジプトはキリスト教を作り出し、キリスト教の現代の形式の多くがエジプトで生まれた。さらに、エジプトが作り出した自身の特徴を持つイスラム教は、イスラム教の中で最も温和である。