先ほど「ジョン・ステニス」を中心とする空母打撃群の司令官はインタビューで、中国軍と「非常に専門的」な交流を行っていると述べた。西側メディアは、中国海軍に対する「賞賛」と受け取った。
この「専門的」とは、中国海軍の「海上偶発的遭遇規則」の実施状況を指している。
同規則は豪州やニュージーランドなどの国が提唱し、2000年に開かれた西太平洋海軍フォーラムで正式に発表された。その後多くの加盟国が意見を出し、何度も修訂された。南京で2014年に開かれた同フォーラム作業部会において、各国が同規則に合意した。同規則は海軍の艦艇もしくは航空機が偶発的に遭遇した際に、どのような安全の措置・手段を講じ、相互干渉と不確定性を減らし、通信を取りやすくするかを規定している。同規則は海軍の艦艇・航空機の法的地位、権利と義務、海上の偶発的遭遇時の海上安全・通信手続きについて説明している。信号・合図、基本的な動き方についても規定されている。そのため同規則は、関連国の海軍が海上で偶発的に遭遇した際に不測の事態が生じる可能性を引き下げ、仮に不測の事態が生じた場合も衝突のエスカレートを避けることができる。
中国は同規則を着実に履行している。中米海軍は昨年11月、大西洋で初の合同演習を実施した。この演習は同規則に基づくもので、両軍の相互信頼と協力を深めた。
そのため中国海軍が賞賛されるのは当然のことだ。しかし米軍司令官は自国のために賞賛を利用すべきではなく、また同規則を使い自国の行為を弁護するべきではない。
同司令官はインタビューの中で、米国は昨年より中国が領有権を主張する島礁付近に軍艦を派遣し、「航行の自由」を宣言していると述べた。同司令官は米国が南中国海の主権問題で特定の立場を持たないと再言及したが、米国の行動は「過度な領有権の主張」に対するけん制であるとし、中国に矛先を向けた。そればかりではない。米国防総省は年次報告書の中で、米軍が昨年、中国、インド、インドネシアなど13カ国・地域に対して「航行の自由作戦」を実施したとした。また中国に対する関連行動は、中国の排他的経済水域の上空の管轄権、および防空識別圏内の飛行制限を試みる動きに対するけん制だとした。
米国側の言行は、「航行の自由」の本意、それから同規則の精神にもとる。同規則は国際的に公認されている規則を尊重した上で制定されたもので、地域諸国の海軍の信頼醸成を促進し、各国の海と空における軍事行為の誤解と誤判断を減らし、海と空の偶発的な事故を回避し、地域の安全と安定を維持することを目的としている。米国は最先端の軍艦・軍機を派遣し、南中国海で武力を誇示し、南中国海の軍事化を推進している。これは公然と同規則の主旨にもとる行為だ。米国版の「航行の自由」は、実際には「横行の自由」であり、規則による保護を受けるべきではない。(筆者:華益声 国際問題専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月28日