中国駐フランス大使のテキ雋氏(「テキ」は「曜」のつくり)は13日、フランスのLes Échos紙に署名記事を発表し、南中国海問題は多くの国家にかかわるものであり、根本的な解決の道は、直接当事国が疎通し歩み寄ることであり、南中国海地区の平和と安定は各関係者にとっての共通の利益になると指摘した。さらに中国と直接当事国とは、南中国海地区の平和発展の大局を維持するという根本的な利益において一致しており、各当事者が責任ある態度を取り、友好的な話し合いと交渉を通じて南中国海に関する論争の解決をはかれば、最も直接的で、最も効果的で、最も根本的な問題解決法をともに見出すことができるとした。
テキ大使は、フランスの大型紙「レゼコー」に、「『南中国海問題』に関するいくつかの真相」と題した文章を発表し、次のように指摘した。フィリピン側が仲裁提起という方式で、南中国海に関する論争の一方的な解決を求めたことは、遺憾である。この措置は、双方が話し合いと交渉を通じて問題を解決するという中国側とフィリピン側が事前に達成していた二国間合意に背くものである。仲裁裁判所が本案件に対して行った管轄権を含む裁定も「国連海洋法条約」の基本的な原則と具体的な条項に反している。中国側はこのため、仲裁を受け入れず、仲裁に参加せず、仲裁を承認しないという立場を取らざるを得ない。また仲裁裁判所が職権を乱用し、自身の管轄範囲をみだりに拡大していることに憂慮を禁じ得ない。中国側は、フィリピンが一方的に仲裁を提起し、仲裁裁判所が関連プロセスを強行することはいずれも違法であり、無効であると考える。
テキ大使はさらに、一部の国が近年繰り返し主張している「南中国海の航行の自由」という問題は「偽の命題」だと指摘した。南中国海の航行の自由には事実上、いかなる問題もない。南中国海の航行の自由に最も関心を寄せているのは中国である。近年、現地の住民の生活を改善し、海上の捜索や救助、防災・減災などでの中国側の責任を果たし、同時に基本的な軍事防衛と主権・権益維持の必要性を満たすため、中国は、灯台や自動気象ステーション、海洋観測センター、海洋研究施設などを一部の島礁に建設してきた。この中には、国際社会に提供される公益サービスも含まれる。このため、中国の上述の措置に対する南中国海の「軍事化」との批判は道理を欠いている。
テキ大使によると、中国人は、海洋統治の長い歴史を持っており、これには南中国海も含まれる。中国は早くから、南中国海の諸島に対する行政管轄権を確立している。この点については、中国の正式な地図に明代から記載があり、近現代以降も多くの国家地図に類似の記載が見られる。
テキ大使によると、第2次世界大戦の終結後、中国は、「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」に基づき、日本によって侵略されていた南中国海の島礁を取り戻し、中国の南中国海の領域図を対外に公布し、中国の南中国海いおける主権と関連する権利を明らかにした。これに対してはいかなる国も疑義を提出していない。
テキ大使によると、1970年代に南中国海の大陸棚に豊富な石油ガス資源が発見されると、いくつかの国が次々と、南中国海の島礁の争奪に乗り出し、関連海域における権益の要求を始めた。中国はこれに対して本来、自衛の手段で事態の発展を抑制することもできたが、善隣友好と地域の平和・安定の維持、中国の経済発展という大局から出発し、主権が中国にあることを繰り返し主張すると同時に、関係国との二国間の話し合いと交渉を通じて解決するという方式を取った。中国とASEANは2002年、「南中国海における関係国の行動宣言」を締結し、上述の論争解決方式を確立した。こうした努力によってこそ、南中国海問題の処理はその後長期にわたって安定し、制御可能なものであったと言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月14日