米比が自作自演した南中国海仲裁案という茶番劇の幕が下りた。表面的には中国とフィリピンの主権をめぐる争いに見えるが、実際には関連国と共に中国の台頭をけん制しようとする米国の大きな狙いが隠されている。米国の多くの政治家と学者は米政府に対して、対中戦略の見直しを提案している。米国も事実上、中国への次の対処法を検討している。南中国海だけではなく、今後はさらに台湾海峡、東中国海、さらには宇宙やサイバー空間などで、中米の戦略的駆け引きが激化することになりそうだ。
仲裁案後、米国はさらなる行動に出る。まず、南中国海仲裁案を利用し、中国に対して「九段線」の属性に関する説明を求める。今回の仲裁は常に米国の強い干渉を受けていた。米国は「国際法」という旗印を掲げ、「九段線」を否定しようとした。中国の南中国海の歴史的主張には法的根拠がないとすることで、中国側の歴史的な権利の主張を終わらせようとした。
次に、今回の仲裁にならい中国に難癖をつけるよう、周辺諸国に積極的に働きかける。仲裁結果はフィリピンにとって有利であり、必然的に模範としての効果を発揮する。米国は仲裁案の裁決を契機・手がかりとし、中国との海洋権益の係争を抱える国を抱き込み、これらの国が係争解決メカニズムにより南中国海問題の解決案を求めることを、より公然と支持することになるだろう。
それから、中国に対して新たな攻勢を仕掛ける。米国などの西側諸国はさまざまな国際舞台を利用し、中国が国際法を順守せず、既存の国家秩序を維持しないと攻撃することで、中国は既存の国際秩序の破壊者だという輿論を醸成する。中国を無責任な国としイメージを落とし、中国の名誉を損ねる。同時に米国はASEAN関連国の中国への不信感を煽り、二国間の政治的相互信頼に悪影響を及ぼすだろう。
さらに、いわゆる仲裁結果を、南中国海で戦略的に優位に立つための手がかり・口実とする。米国などの域外国は国際法を守ることを口実に、仲裁結果を利用し南中国海問題への干渉を強め、南中国海の緊張情勢をエスカレートさせる。常態化「航行の自由作戦」を力強く推進し、各方面から事を構えることで、中国の「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)構想の実施を直接妨げる。
南中国海仲裁案後、南中国海地区は係争が激化し衝突が多発する厳しい時を迎える。各国の南中国海における駆け引きは、経済・外交の摩擦から軍事的な争奪戦に発展する。南中国海の係争における軍事的・準軍事的要素が増加を続け、南中国海の新たな戦いの引き金になる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月20日