中央軍事委員会委員、海軍司令員の呉勝利氏は北京で18日、訪中した米海軍作戦部長のジョン・リチャードソン氏ら一行と会談した際に南中国海問題に関する▽中国が南中国海の主権・権益を犠牲にすることは絶対にない▽軍事的な挑発を恐れることは絶対にない▽南沙島礁の建設を中止することは絶対にない▽備えなくして警戒を緩めることは絶対にない▽南中国海問題の平和的解決の努力を諦めることは絶対にない――という5つの「絶対にない」を明らかにした。
この言葉は中国の南中国海問題における立場を断固とした態度ではっきりと示しており、また南中国海の主権・権益を守り平和を求める中国軍の決意を示している。また呉氏はリチャードソン氏ら一行が、現在の南中国海情勢にも関わらず招待に応じて訪中したことを高く評価した。
5つの「絶対にない」は念入りに検討されたもので、深い意義を持つ。米国および米軍がこれを聞き入れ、真に理解することを願う。
まず、呉氏が面と向かって5つの「絶対にない」に言及したことで、南中国海の主権と権益を守る中国側の決意と譲れないラインを米国側に直接的に深く理解させ、戦略的な判断ミスの防止を促した。南中国海諸島は古来より中国の領土だ。中国はすでに領土問題について、中国のものでなければ少しも欲さず、中国のものならば寸土でも守ると表明している。中国はフィリピンが申し立てた南中国海仲裁案の裁決に関するいかなる主張も行動も受け入れない。この状況下で呉氏が面と向かって5つの「絶対にない」に言及することで、米国側は中国側の決意と意志を正確に評価・判断し、中国の合理的な国益と安全の関心事を着実に尊重することを促せる。リチャードソン氏も14日、初の訪中について発言した際に、米中両国海軍が相互理解を試みる際に、面と向かった会談は最良の選択肢だと表明していた。
次に、呉氏がリチャードソン氏に、面と向かって5つの「絶対にない」に言及したのは、南中国海で中国を念頭に置いた巡航や演習などの武力誇示を停止し、海と空の事故といった不測の事態を防止することを願っているからだ。呉氏は「我々が軍事的な挑発を恐れることは絶対にない。武力誇示により我々に屈服を迫ろうとするやり方は、逆効果にしかならない。中国海軍はすべての権利侵害・挑発に対応する十分な備えをしている」とはっきり指摘した。
それから、呉氏は「南中国海問題の平和的解決の努力を諦めることは絶対にない」と言及することで、中国が責任ある大国であることを表明し、地域の平和と安定を守る大国としての責任を示した。中国は南中国海の平和と安定を守る重要な力だ。中国は国連憲章の主旨と原則を順守し、世界の法治を毅然たる姿勢で維持・促進し、国際法を尊重・実践している。中国の南中国海における領土主権と海洋権益を毅然たる姿勢で守ると同時に、交渉と協議による係争解決、互恵の協力によるウィンウィンの実現を貫き、南中国海を平和の海、友好の海、協力の海にするよう力を尽くしている。これは5つ目の「絶対にない」であり、現在は多くの消極的な要素が存在しているが、中国がフィリピンが申し立てた南中国海仲裁案の影響を受けず、協議と交渉による係争の平和的な解決を維持していることを、米国と国際社会に対して再び示した。これは仲裁案への中国の反応を観察する関連国に対するはっきりとした姿勢であり、地域の平和と安定の維持を促す。
南中国海の平和と安定において、中米と両国海軍が重要になる。協力は唯一の正しい選択肢だ。米国が中国と中国軍の発展を正確に見据え、中国の南中国海における正当な権利を守る行動と島礁建設を正確に認識し、中米新型大国関係に新たな原動力を注ぐことを願う。また米国が南中国海問題の複雑性と長期性を深く認識し、主権問題で特定の立場を持たないという約束を守り、中国と地域諸国が協議により係争を解決し、南中国海の平和と安定を守るという努力を尊重・支持し、建設的に貢献し、南中国海の平和と安定を共に守ることを願う。(筆者:張軍社 海軍軍事学術研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月20日