地上の職員はその後、機長に次のように報告した。女性のパスポートに放送禁止用語が書かれていたため、ベトナム当局は調査を行った。ベトナム側は、女性のパスポートの落書きが、ベトナム側の職員が書いたものではないとして、「この落書きはベトナムのイミグレが書いたものではない」とする誓約書を書かせようとした。しかし女性がそれを拒否したため、膠着状態に陥ったというのだ。
劉機長は地上の職員に対して、「自国の同胞をハノイに残すわけにはいかない」と述べ、どれほど時間がかかっても鐘さんを待とうとした。また劉機長は別の機長や乗務員と相談し、鐘さんの願いと決意を支持することで一致した。これにより生じるすべてのリスクは、客室乗務員が心を合わせて協力し、共に対処するとしたのだ。
地上の職員はその後、直ちに連絡をとった。約30分後、鐘さんはついに劉機長の航空機に搭乗した。
劉機長は「私はただ、力の及ぶ限り乗客に安心感を与え、少しでも早く帰国してもらいたかっただけだ。私が1人の同胞を残すことはない」と話した。
駐ホーチミン中国総領事館の職員は10日、メディアのインタビューに応じた際に、「鐘さんが帰国する際に、総領事館の職員が付き添いに来ていた。鐘さんは正常な出国手続きを行ったが、ベトナム側のイミグレの調査を受け時間がかかった。ネット上で伝わっているような、拘束され嫌がらせを受けたといったことはなかった。鐘さんのパスポートが落書きされた件について、総領事館はベトナム側の調査結果を待っている。鐘さん本人も正式な情報を受けていない」と明かした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月16日