在アメリカ中国大使館は現地時間2月1日(旧暦1月5日)夜、春節(旧正月)を祝うイベント「歓楽春節――中国文化の夜」を催した。トランプ大統領の娘、イヴァンカ・トランプ氏が出席し、注目を集めた。
米大統領は中国が春節を迎えると祝賀メッセージを寄せるが、トランプ大統領は今年この慣例を破り無言を貫き、シャノン国務長官代行が代わりに読み上げた。米大統領が春節の祝賀メッセージを寄せるかは、実際には中国の年越しムードにほぼ影響を及ぼさない。影響が及ぶのは、米国在住の華人だろう。トランプ大統領が春節に何も言わなかったことは、「対中強硬」という態度を持っているためと解釈された。
しかしイヴァンカ氏が中国大使館のイベントに出席したことは、正反対の情報を伝えている。またイヴァンカ氏は現地時間2日午前、5歳の娘アラベラちゃんが中国語で『新年好』を歌う動画をツイッターで投稿した。この善意あふれる態度は、トランプ大統領の中国への強硬姿勢とのバランスを取るためと分析されている。
最近の米大統領の家族を見ると、イヴァンカ氏は最も影響力のある娘と言える。その言行は、より重要な意義を示す。イヴァンカ氏の中国への善意ある姿勢には、政治及び外交の意義が込められている。これもまた中米関係の新たな一幕である。
トランプ大統領は1月20日に正式にホワイトハウスに入居すると、各国に攻撃を加えている。ドイツ、日本、メキシコなどが批判の対象になった。入国禁止令によりイスラム教7カ国に衝撃が走った。しかしトランプ大統領は中国に仏頂面を続けているが、いつまでも行動に出ていない。中国と心理戦を展開しているかのようだ。
トランプ大統領が決して程をわきまえない人物ではないことが確認されている。例えば入国禁止令には、9.11同時多発テロのテロリストが最も多かったサウジアラビアやエジプトが含まれていない。これは2カ国が米国にとって役に立つからだ。またトランプ大統領は影響力が低下する米国の伝統的なメディアを批判しているが、同じく大統領にとって不利な情報を流している新興メディアには穏やかな顔を向けている。
真っ先に中国を批判しなかったのは、中国からの報復を予想しているからだ。トランプ大統領は中国と駆け引きを展開する難しさと、その代償を計算している。
トランプ大統領はこの十数日で、オバマケア撤廃、TPP離脱、メキシコ国境沿いの壁、イスラム教国への入国禁止令により、米国社会をさらに分断化させ、同時に世界に衝撃をもたらした。トランプ大統領への支持と反対が強まっており、政権運営早期の脆弱なバランスを形成した。
中国に手を出せば、トランプ大統領の新たな「大きな動き」になる。これはまた一種のリスクでもある。中国が必ず報復することから、トランプ大統領はまず正当な理由を説明し、次に代償よりも大きな利益を手にしなければならない。
中国を批判の対象とすることは、トランプ大統領の強硬なイメージと合致するが、中米関係を悪化させる。トランプ氏が今まで口にしている理由は、いずれも米国社会で使い古されたものであり、闘志を高めることができない。またトランプ大統領は中国への一方的な批判が不可能であることを理解している。中国も必ず強硬な手で反撃し、トランプ大統領の威厳を損ね、戦略面の失点を促すだろう。
トランプ大統領がどのような動きを見せても、我々は平常心を維持するべきだ。米国とは「和をもって尊しとなす」を目指すが、十分に「戦いをもって和を促す」準備をする必要がある。中国はトランプ大統領、そのチームと家族を十分に尊重するが、米国からの批判に断固反撃する。中国は自信を持っているのだと、トランプ政権に理解させるべきだ。
イヴァンカ氏が中国大使館を訪問したといった情報は、中国人を喜ばせることだろう。イヴァンカ氏という美しく温和な女性は、米大統領の家庭にとっての宝であり、米国という国にとっての宝でもあるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月3日