米国のトランプ大統領は先ほど、米ロ核軍縮条約に不満を表し、かつ米国の核兵器庫を拡大すると述べた。就任1ヶ月以上に渡り、トランプ大統領のロシアへの態度が強硬化している。今回の発言は、ロシアから強く警戒されている。
専門家は、トランプ政権がロシアとの核保有バランスを維持してきた歴代政権の方針を変え、一方的に有利になろうとすれば、冷戦時代の軍備競争が再演される可能性があるとしている。この影響を受け米ロ関係はさらに複雑化し、両国関係の改善は実現が困難になるだろう。
トランプ大統領は今回、核兵器問題をやり玉に挙げ、ロシアに矛先を向けた。これは政権の基盤を固めるためかもしれない。安全保障担当大統領補佐官を務めていたマイケル・フリン氏による「ロシア内通事件」の影響を受け、トランプ大統領は米国の政治エリートの米ロ関係改善への大きな抵抗力を感じた。ロシアへの立場を調整しなければ、政権運営が危ぶまれるというのだ。
より深い角度から見ると、この発言は米国国内、特に軍の戦略変更を反映している。つまり戦略的なバランスの維持から、一方的な優勢に移るということだ。ロシアによるクリミア併呑、ウクライナ東部の衝突などの事件を受け、米国国内のタカ派は、米国の核兵器庫建設の「自制的行為」がロシアの「野心」を放任すると懸念している。
中共中央党校国際戦略研究院の梁亜濱准教授は「ロシアの実力が相対的に低下し、米国国内で新たな考えが生まれている。今のうちに戦略的に一方的に有利になり、絶対的な安全を求めるべきだというのだ」と述べた。
梁氏は「米ロ両国は事実上、東欧で軍事競争を展開している。ジョン・マケイン上院議員は数日前、ロシアの地対地巡航ミサイルの配備は、中距離核戦力全廃条約に違反していると批判した。NATOはこのほど中東欧に軍事力を配備し、ポーランドやリトアニアなどに兵士を派遣している。そのため米ロ関係は将来的に複雑化し、悪化に向かう可能性もある」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月27日