米国離脱後の環太平洋連携協定(TPP)の発効を巡り、残った11カ国がカナダのトロントで開いた首席交渉官会合が3日午後、2日間の日程を終えた。今月後半に開かれるTPP閣僚会合で、米国抜きの発効の道筋提示を目指す方針で一致したが、各国の思惑に温度差があり、日本などが主導する調整は難航しそうだ。共同通信が伝えた。
交渉で日本政府の事務方トップを務める片上慶一首席交渉官は終了後、メディアに「TPPの意義を踏まえ、勢いを失わないように議論を前に進める共通認識があった」と述べ、議論の進展があったとの考えを示した。
TPP首席交渉官会合では、20、21日にベトナムで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に合わせて開くTP閣僚会合で、米国浮きの発効に向けた道筋を示す声明を出すことを確認し、一定の方向性を示した。
交渉筋によると、早期発効の重要性を確認し、各国国内の反対論の厳しさを共有し、現実的な発効手段を模索することで一致したという。発効後も米国が追加で緩急しやすい仕組みを設けること、ベトナムで開かれる11月前半のAPEC首脳会議をめどに合意を目指すことも確認した。
しかし片上氏は「各国の状況と立場は異なる」と指摘し、米国離脱後の対応をめぐり各国の意見が食い違っていることを認めた。
日本や豪州などは、12カ国の合意内容によるTPP早期発効に積極的な態度を示しているが、大規模な市場である米国への輸出拡大に期待していたベトナムやマレーシアなどの国内では、反対の声が強い。
そのため前向きな態度の国から発効し、さらに段階的に参加国を増やしていき、最終的に米国を加え12カ国の枠組みを形成する可能性もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月5日