エマニュエル・マクロン氏(39)が7日、仏大統領の決選投票に勝利した。得票率は65%以上。欧州の政界と主流メディアは直ちに、喜びの声を上げた。マクロン氏は「ブラックホース」で、フランスと欧州主流社会に近い価値観により、別の「ブラックホース」である極右のルペン氏に勝利した。両氏はいずれもフランス2大政党の社会党・民主党所属ではなく、フランス国内の政治構造がすでに書き換えられている。
しかしマクロン氏の勝利により、欧州の政治構造の安定を維持し、英国を失ったEUの「止血」を保証した。ドイツのメルケル首相は選挙前、マクロン氏を支持していた。ドイツ首脳が仏大統領選に「干渉」するのはかつてないことだが、これは今回の選挙結果が余りにも重要だったからだ。仏独はEUの「エンジン」であり、EUとグローバル化に公然と反対するルペン氏が当選すれば、英国のEU離脱よりも大きなショックとなる。これはEU終了を告げる鐘の音になったことだろう。
かくも若きエリートがエリゼ宮殿に入居することになったが、マクロン氏はフランスの政治の伝統を覆す極端な手段により、ナショナリズムを狙い撃ちしたと言える。
当然ながら欧州のナショナリズムは終了しておらず、欧州では今後さらに選挙が行われる。EUの主流派は、そのいずれも落とすことができない。しかしフランスを手中に収めるか失うかによって、EU主義の置かれる境遇はまったく異なっていただろう。
グローバル化が人類社会の片道切符であることは明らかだ。交通や通信などのインフラが高度発展し、資金や物資の流動が国境線を「穴だらけ」にしている今日において、「割拠」は現代経済体にとって不可思議なこととなっている。実際、過去に回帰している国はない。「自国最優先」を絶対の原則とするのは、選挙中のスローガンに過ぎず、実行に移すことは絶対にできない。
ところがルペン氏は恐るべき幻などではない。自由主義が高度に発展したフランスで敗北したが、決選投票での得票率は約33−34%に達した。ナショナリズムはグローバル化に失望する者にとって自然な反応だ。この集団的な反応を利用し、国やさらに広い範囲の政治の危機にしようとする政治家や組織は、常に存在する。
マクロン氏が勝利を収めたフランスは、6割ほど水を注いだ瓶のようなものだ。水が入っていると見る者がいれば、まだ大きな空白が残されていると見る者もいる。フランスと欧州は依然として厳しい岐路に立たされている。理性的な考えによって示される前途は非常に鮮明だが、現実においては依然として混沌が存在する。欧州の未来は、それほど確定的ではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月8日