訪中する韓国の特使(李海チャン氏)にとって、中韓関係の改善は最も重要な任務になる。THAAD問題は、中韓関係の健全かつ安定的な発展を妨げる一大障害物であり、中韓関係が真の「砕氷」を実現する鍵でもある。そのため中国のTHAADへの懸念をいかに解消するかが、当然ながら最優先の課題となる。THAAD問題で独断専行した朴前政権とは対照的に、文大統領は就任後間もなく重量級の知中派の人物を特使として中国に派遣した。さらに中韓両国の首脳は先ほどの電話会談で、双方の重大な関心事をめぐり共通認識を形成した。これらは文大統領の対中関係への重視、中韓関係改善の願いを示している。この積極的な、意思疎通の強化に前向きな態度は、双方の協議による解決の友好的な雰囲気を醸成しており、中韓双方の折衷案を模索する上で有利だ。
配備延期で中国に配慮か
THAAD問題は本質的に中韓両国の問題であるだけでなく、中米韓の問題でもある。韓国は朝鮮への備えから、韓米同盟を維持しようとしている。そのためTHAADが韓国から撤収されるかは、米国の最終決定にかかっている。韓国は最終決定を下すことができないが、影響を先延ばしにすることはできる。現状を見る限り、朝鮮が今度も核ミサイル実験を行う可能性を考えると、THAAD配備に明確に反対していない文大統領が直ちに配備を取り消す可能性は低い。しかし中韓関係を改善しようとしている文大統領が、手をこまねいて見ていることはない。そのため文大統領は配備の時期を延長することで、中国側に配慮する可能性が最も高い。(筆者:劉鑫 ソウル大学校政治外交学部修士)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月21日