一方で、現在経済のグローバル化プロセスは「逆風」に遭い、保護貿易主義がいくらか頭をもたげている。世界の主要エコノミーである中国とEUは、貿易の自由化と経済のグローバル化推進の面で広範な認識を共有している。中国国際問題研究院の阮宗沢副院長は「李総理は今回の訪問でEUと共に、自由貿易体制の維持、経済グローバル化の促進などの問題で共通の声を発し、開放的包摂、互恵・ウィンウィンという積極的なメッセージを世界に発する」と語る。
当然今回の会談で中国とEUは相互関係の「悩み」にも直面しなければならない。例えばEUは長年にわたり対等な開放を望んでおり、欧州企業の中国市場参入に限度があることに不満を抱いている。一方でEUは「中国のWTO加盟に関する議定書」第15条の義務を期日通りに履行していない。中国の楊燕怡駐EU大使はメディアに「双方の経済・貿易関係が不断に発展する過程で、中国EU間に溝や利益面の異なる訴えがあるのは正常なことであり、いかにして溝をうまくコントロールし、処理するかが肝要だ」と表明した。
最後に李総理はベルギーを公式訪問し、フィリップ国王、ミシェル首相と会談する。両国の指導者は中国ベルギー関係、中国EU関係、及び関心を共有する国際・地域問題について踏み込んだ意見交換をする。
李総理とミシェル首相は吉利―ボルボ新車展示会に出席するほか、一連の協力文書の調印にも立ち会う。ミシェル首相はびっしりと組まれた日程に、李総理を歓待する宴も特に設けた。両指導者の良好な個人的友情、及び両国関係の発展を双方が非常に重視していることをはっきりと示すものだ。
ベルギーは小さいが、「ヨーロッパの心臓」と呼ばれ、化学工業、原子力、バイオメディカルなどの産業で独特な優位にある。双方の協力深化は中国がイノベーション主導型発展戦略を推進するうえで極めて大きな参考になると指摘される。王氏は、李総理の訪問は両国の伝統的友好を深め、包括的な友好協力を拡大し、両国関係をさらに新たな段階へ押し上げると考える。
今回の訪欧は、日程がびっしりと組まれている。今後3日間、訪問日程が一つ一つ進むに従い、中国とEUの新たな相互交流がどのような影響をもたらすのかを各方面は見守っている。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年6月2日