第一に、「クール」は良いが自己陶酔はいけない。日本は、その「ソフトパワー」の長所が伝統と現代の并存にあると自認している。だがその限界もそこから来る。日本の文化が、強い内向性と閉鎖性を帯びているということだ。近年の国際情勢の変化や国内の成長力不足などの要素は、日本社会の内向性と閉鎖性をさらに高めている。中国の台頭はさらに、「アジア唯一」の近代国家という日本の百年余りの自己認識を揺るがしている。文化商品にそれが反映されたのが、伝統に基づく「日本ならでは」をとにかく強調し、その付加価値をつり上げ、不当な高値をもたらし、自己陶酔の極へと走るという状況である。例えばクールジャパンファンドの投資を受けたマレーシアの伊勢丹の店舗には、伝統工芸を用いたもので「真の日本」を代表するとされる衣類や食器、食品などの商品が並ぶが、価格があまりにも高く、よそよそしい印象で、客がほんとんど入らず、深刻な損失に陥っている。
第二に、過度な期待がバブルを生み、政治指導が效果を減じている。近年、「クールジャパン」への重視が高まり、ますます多くの戦略的な内容が付け加えられ、その重みは耐え難いものとなりつつある。日本の産業と文化は確かに独特だが、現在の世界はより多元的なものとなり、需要も多様化している。日本が最も誇りにしている漫画・アニメ産業を例に取れば、かつて幅広い歓迎を受けていたこの大衆文化はすでに、マイノリティーの文化へと変質している。クールジャパンファンドの投資を受けた、海外にこの種の番組を放送するプロジェクトが深刻な損失に陥っていることは、この問題を十分に表している。安倍内閣に非常に重視されていることから、「クールジャパン」を世界各国に迅速に広げることはもはや政治的任務となっている。その結果、取り組みは十分な準備を欠き、市場法則や投資規範は無視され、コネだけで決まったようなプロジェクトも少なくない。日本メディアの調査によると、上層部が私的な関係を頼って進めたプロジェクトは多くが低迷している。
第三に、政府の職責を正しく決める必要がある。日本メディアの取材によると、クールジャパンファンドやその他の政府関連予算はすでに、関係者に分け前を分配する利益誘導の政治の道具と化している。産業や文化の海外展開を後押しする過程における政府の権能は、具体的なプロジェクトや企業を支援することなのか、戦略の本源に立ち返って制度環境や人才の土台を築くことなのかということは、真剣に考えなければならない問題となっている。
「クールジャパン」戦略の得失を分析するのは、他山の石とするためである。中国にとっても、自身の文化をいかに対外に伝えるかということは重要な問題となる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月25日