トランプ氏、ダボスで世界に「低姿勢」?

トランプ氏、ダボスで世界に「低姿勢」?。

タグ:トランプ ダボス

発信時間:2018-01-29 13:00:07 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 トランプ大統領はダボスで、世界と協力する姿勢を示した。

 

 トランプ大統領は今月下旬に、歴代大統領2名の慣例を破り、自らダボス会議に出席し演説した。トランプ大統領はまず、新体制のもと米国が繁栄に向かっていることを説明した。その根拠となる経済指標は、株価、雇用、税制改革だ。11月中旬のベトナムAPEC会議の演説と異なり、トランプ大統領は今回、米国の経済成長データに言及しなかった。理由は単純だ。2017年最後の四半期の経済成長率は2.6%のみで、3%という予想を下回っていたのだ。

 

 米国商務省が発表したデータによると、米国の2017年第3四半期の経済成長率は3.3%で、2四半期連続で3%を上回った。この成績は戦後の歴代大統領としては6位ほどで、第4四半期のペースならば8位だ。

 

 トランプ大統領がダボス会議に出席する自信を持てたのは、現在の米国の経済成長率がブッシュ時代やオバマ時代を大きく上回るからだろう。しかしトランプ大統領はダボスで、繁栄する米国は世界の利益になると強調し、「米国ファースト」というスローガンを想起させた。トランプ大統領の大統領選での戦略を見ると、主に小都市や農村部で暮らす白人の中産階級から支持を集めていたことが分かる。

 

 つまり「米国ファースト」の「米国」とは当時、主に米国の一般人を指していた。しかしトランプ大統領が現在強調している「米国」は、富裕層が中心となっている。これは減税により利益を手にする高所得者などのことだ。トランプ大統領が一年間の政権運営で、行政能力を手にしエリートとの関係を構築する手段を速やかに学んだことが分かる。

 

 ダボスはエリートが集まる場であり、グローバル化の支持者が集まる場でもある。そのためトランプ大統領は「米国ファーストとは、米国の独り歩きを意味するものではない」と認め、「米国のビジネスへの開放」を何度も強調し、世界との協力の姿勢を示そうとした。

 

 しかしながらこの姿勢には、同盟国の軍事費の負担拡大、公平かつ校正な貿易という発言が含まれ、警戒されている。米国は戦後に自由な世界を主導したが、これは米国が軍事費を負担し、その他の先進国にも利益を与えることを基礎としていた。今の米国は、これを維持しようとしていない。特に数日前に同じくダボスで演説したフランスのマクロン大統領と比べると、米国の決意が不十分であることが際立ってくる。

 

 アジア諸国にとって、トランプ大統領の貿易政策はまだ、複雑にもつれ合い前進している。トランプ大統領はダボス入りする前、複数のアジア諸国の洗濯機と太陽光製品に対する、関税や輸入規制など保護主義的な政策を発表した。その一方でダボスでは、TPPの交渉復帰を検討できると表明した。トランプ大統領が就任してから初めて出した大統領令は、TPP離脱だった。11月にベトナムで演説した際には、TPPについてはまったく言及しなかった。わずか2カ月余りで、トランプ大統領のアジアの貿易観に、大きな変化が生じたようだ。 


 「米国ファースト」というスローガンにより就任したトランプ大統領は、経済成長を維持する需要から、世界に低姿勢になっているようだ。ダボスの旅、今後の一般教書演説に引き続き要注目だ。(筆者・鐘飛騰中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院大国関係室長、研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月29日


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