劉鶴中央財経指導グループ弁公室主任(中共中央政治局委員)が米政府の招待で2月27日から3月3日まで訪米し、中米関係や経済・貿易協力について米側と意見交換する。外交部(外務省)の陸慷報道官が26日の定例記者会見で発表した。これは劉氏が今後の中米経済対話を主導することを意味するかもしれない。
それでは劉氏の今回の訪問は、昨年以来頻発している貿易摩擦問題の解決が重点なのだろうか?
そう考えるのは、構造を矮小化してしまうようだ。商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員によると、最近中米間の貿易紛争が大きく取り上げられているが、実際には中米貿易の総額に占める紛争関係額の割合は大変小さい。反対に、中米間の貿易額は2017年に2けた成長を実現。2016年の貿易額は1992年の29倍以上だった。
統計によると、2000年以前、米国の貿易において対中貿易の占める割合は4%足らずだったが、現在では14%に達している。これは中米が高度に「互いを必要とする」状態にあることを示している。
「トランプ氏は常に対中貿易赤字を持ち出すが、彼も国の輸出能力は一日にしてならずだが、輸入能力は経済成長に伴い伸びるものだということを分かっているだろう」と梅氏は指摘する。周知のように、昨年米国は景気回復基調が強く、内需が拡大し続けた。これは必然的に輸入需要の増加をもたらす。これを理由に騒ぎ立て、二国間貿易において自らが不利な地位にあると言うのは、明らかに成り立たない。
ましてや、米国にとって中国は、すでに北米以外で最大の輸出相手国となっている。政府統計によると、米国の輸出する大豆の62%、綿花の14%、ボーイング機の25%、自動車の17%、ICの15%が中国向けだ。
劉氏訪米の目的について、ウォール・ストリート・ジャーナルはトランプ氏が1兆5000億ドルのインフラ計画が国内で壁にぶつかっているとしていることを指摘した。彼らは、中国がこれを支える可能性があると推測する。
その可能性は当然検証を待たねばならない。だが梅氏によると、軽視できないのは、現在中国国内はすでに揺るぎなく安定した核心が確定しているが、米国内では政治的内紛が依然激しいという点だ。要するに、トランプ氏が自らの政策を着実に進めたいのなら、中国の支えを多少求めざるを得ないのだ。
世界第1、第2の経済大国である米中間には相互間の協力、開放・調整について共通認識がある。過去10年間、中国だけで世界経済の成長への寄与率は30%を超え、中米を合わせると寄与率は50%を超える。こうした中、双方の経済・貿易関係の強化は両国の経済発展にとって重要な意義を持つだけでなく、それ以上に世界経済の発展推進にとって大きな意義がある。
先般、米株式市場は大きく揺れた。さらに今年は2008年の金融危機から10年でもあり、少なからぬ市場参加者が、米国の今後の金融政策(FRBはすでに段階的な利上げを行うとした)が米株式の全面安を招くかどうかを懸念している。
こうした中、特に差し迫っているのは、中米がどのように両国の財税・金融政策を調整し、マクロレベルから世界経済の発展を安定させるかだ。
「両国間の物品貿易紛争は市場参加者の心理に割合大きな影響を与えうるが、客観的に言って市場へのインパクトは限定的だ。反対に、財税・金融政策の影響は市場の各セクターに波及する」。梅氏によると、劉氏の中央財経指導グループ弁公室主任としての立場と豊富な経済管理経験を考えると、財税・金融政策という、よりマクロで全局に影響を与える議題が、今回の会談の重点の1つとなるかもしれない。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年2月28日