中国側は4月2日から、米国からの輸入品128品目に15%または25%の関税を上乗せすることを決定した。これは世界貿易機関(WTO)のルールを運用して、米国による輸入鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税(232条措置)が中国の利益にもたらす損失との均衡を取り、中国の利益を守るための正当な措置だ。(文:梅新育・商務部研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
トランプ米大統領はすでに現地時間3月22日、中国による「経済侵略」をターゲットとする大統領令に署名し、鉄鋼・アルミニウム貿易と知的財産権の分野における中国の行為について、500億ドル規模の中国からの輸入品に対して懲罰的関税を課すと同時に、中国による対米直接投資を制限することを発表した。中国のこの行動は米側の232条措置への対応であり、それ以上に米側に対する警告だ。
国際的慣例から考えると、米側の301条調査報告における対中非難は成立しない。中国の実施する技術移転規範は1985年の国際技術移転行動規範(草案)を完全に参照して定めたものであり、米国も国際技術移転行動規範に参加していたことを知っていなければならない。中国の技術移転規範は明らかに国際的慣例に合致している。
それだけではない。国際的慣例に従えば、知的財産権は確かに重要ではあるが、乱用を防ぐべきでもある。世界貿易機関(WTO)の「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」自体が、自らの公共の利益を保護するために必要な措置を講じる権利を加盟国に認める条項を複数設けており、知的財産権保有者による知的財産権の乱用を防いでいる。特に途上国への技術移転を促し、必要時には強制的措置を取ることができるとしている。
WTOの規定と照らし合わせて、米国が一方的に発動した今回の301条調査を詳しく見ると、それが一体知的財産権の乱用を防止し、不合理な貿易制限が国際技術移転にもたらす悪影響を防止するものなのか、それとも全く反対のものなのか、見識ある人には容易に判断できる。
米国の発動した今回の貿易戦争は、WTOのルールに合致しないだけでなく、米国企業を含む急速に発展する多くの新興産業の要請にも合致しない。実際には、知的財産権の保護に関する主張は米国の各産業により顕著な違いがある。急速に発展し、過去20~30年間の国際経済の発展を牽引してきたソフトウェアなどの産業はかなり多く「弱い保護」を主張しているが、製薬業は最も強く「強い保護」を主張している。
米国の政策決定者はイノベーションを促し、米国の実体経済セクターの基礎を立て直したいとしきりに口にするが、彼らは自らが一体イノベーションがより活発な産業の保護に重点を置くべきなのか、それとも深刻な倫理的問題を生じることも辞さずに、イノベーションがそれほど活発でなく、経済・社会に対する牽引力がそれほど強くない産業ばかりに従うべきなのか、しっかりと考えていないのだろう。
数10年間の発展を経た今日の中国は、貿易戦争を始める相手国に対して少なくとも同程度の損害を与えるに十分な実力を持つだけでなく、その実力を用いる揺るぎない意志を持つ。だが貿易戦争は結局は良い事ではない。自己改革ではなく保護貿易主義に頼れば自国の実体経済セクターを立て直すことができるというのは、全くの幻想だ。両国が共に傷つくことを避けるため、争いを始めた者は保護主義的措置を撤回することこそが得策だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年4月3日