国家深海基地管理センターが10日発表した情報によると、深海基地で大規模な点検修理に入っている有人潜水艇「蛟竜号」は、2020年に初の世界航行科学観測任務を遂行することになった。同センター副チーフエンジニアの丁忠軍氏は記者に対して、蛟竜号の新母船が「深海1号」と命名されたと発表した。
蛟竜号のこれまでの母船は、耐用期間を過ぎた「向陽紅09」だった。新母船は4000トン級科学観測船で、航続距離は1万2000カイリ。来年3月頃に交付され、蛟竜号、海竜号、潜竜号を同時に搭載し共同作業を展開できる。
潜竜号は2012年、マリアナ海溝で最大設計深度を調べる海上試験を実施し、作業型有人潜水艇の世界記録を更新した。当時は潜水艇の常態化業務運行の条件が整っておらず、持ち主である中国大洋鉱産資源研究開発協会が5年を費やし、蛟竜号の試験的応用を展開した。主に専門的な業務サポートチームを育成し、全国開放・共有メカニズムを構築し、その作業能力を高め、海上試験から常態化業務運行への過渡を実現することが目的だった。
蛟竜号は5年間に渡り158回の潜水に成功し、深海のタクシーのように訓練を受けた科学者などの「乗客」を乗せ、海洋の奥深くまで潜水し現場調査・研究を展開した。
昨年末より、蛟竜号は深海基地に戻り大掛かりな点検修理と技術アップグレードを受けている。これには主に、水中での測位及び目標捜索の能力、海底付近の地形測量能力、直接的なサンプル収集の能力を高めるという3つの内容が含まれる。
丁氏は今回の地球一周航行の航路については2つの案があるが、まだ最終決定されていないと述べた。ただし蛟竜号が業務化運行に向かう条件はほぼ整っており、これが計画実行の基礎になると強調した。
「中国は公海海底に複数の鉱産資源調査エリアを持つ。計画ではまず、大洋資源及び環境保護の研究の需要を満たす。地球一周航行は大規模な国際協力プロジェクトであり、海上シルクロード沿線国の科学者と共に潜水し、科学観測を実施する予定だ」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月12日