中国人が待ち望む初の国産空母が13日午前7時頃、ついに大連造船所の埠頭から出港し、計画されている海上試験任務を遂行するため関連海域に向かった。同艦は現時点では「001A型」空母と呼ばれている。2013年11月着工で、2017年4月26日に進水・艤装し、国内外の防衛界と軍事マニアから注目されていた。(筆者・胡波 北京大学海洋戦略センター執行主任)
遼寧艦と異なり、001A型は完全に中国が自主設計・建造したものだ。遼寧艦をベースとし多くの改良を施しており、性能が全面的に向上している。外観を見ると、甲板や構造などが遼寧艦と大きく異なっている。
隣国との海洋係争を解決するため?
中国との間に海洋係争を抱える一部の周辺諸国は、中国が主権を守るため空母を使用することを懸念している。中国のメディア、学界、さらには一部の当局者も空母に言及する際に、中国の海洋係争・問題と結びつけ、空母発展の主要任務を近海の海洋係争・問題の解決と判断している。
実際には、これは中国の空母発展の主な動機では決してない。中国は係争を平和的に解決することを主張しており、また仮に中国の当局者が武力もしくは強制的な手段により日本や東南アジア諸国との海洋係争を解決しようと考えているとしても、空母は主要作戦プラットフォームにならない。1980年代に空母プロジェクトの最初の論証が行われた際に、南中国海の係争は非常に重要な要素になった。しかし今日、中国の軍事体制・能力・構造には大きな変化が生じている。
まず、中国の軍事現代化の全面的な推進により、中国の政策の選択肢が増えている。中国空軍と海軍航空兵に配備されている主力軍機は、J-10、J-11、Su-27、Su-30などによる第3世代機群だ。その作戦半径は1500キロ以上で、短距離のJ-6やJ-7が中心的な時代ではなくなった。釣魚島も南沙諸島も、中国の大規模な陸上戦闘機群の有効半径内にある。今後はJ-20など大量の第4世代機の就役により、陸上の航空兵は東中国海・南中国海の係争と制空権の維持でより大きな力を発揮することになる。ミサイルを見ると、中国は周辺諸国に対して圧倒的な優位性を形成している。中国の陸上配備型の巡航ミサイル、短中距離弾道ミサイルは特定海域を飽和攻撃し、相手国を脅かすことができる。
中国の近海は音声状況が複雑で、海洋の地形が特殊だ。中国のキロ級、元級、宋級などの静音潜水艦の活動にとって理想的な場所であり、中国はこれらの潜水艦を使い相手国の水上艦を効果的にけん制できる。また中国の水上艦の戦闘力と実用性も高まっている。052Bや052Cなどの中国が自主開発した駆逐艦、ロシアから導入した4隻の現代級(ソヴレメンヌイ級)駆逐艦などは、防空・対潜・対艦などの総合作戦能力が高く、近海で海上対抗、封鎖、火力支援などの作戦任務を遂行できる。また量産化が始まった052D型駆逐艦、建造が開始された055型大型駆逐艦はさらに高い海上総合作戦能力を持つ。その地域防空システムは、中国版「イージス」と呼ばれている。中国の兵器庫にはこれほど多くの選択肢があり、わざわざ空母にご足労頂くまでもない。