中国の未成年者の犯罪、奇跡的な減少を実現

中国の未成年者の犯罪、奇跡的な減少を実現。

タグ:未成年者の犯罪 減少

発信時間:2018-06-05 10:20:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 最高人民裁判所はこのほど、「未成年者権益司法保護及び犯罪特徴司法データ分析報告書」を発表した。報告書によると、中国の未成年者による犯罪件数は2009−17年の9年連続で減少したが、農村部の未成年者による犯罪が全体に占める割合は82.06%に達している。これらのデータは何を意味しているのだろうか。


 中国の未成年者による犯罪件数は9年連続で減少しており、かつ中国は世界的に見て、未成年者による犯罪率が最も低い国となっている。過去10年間は中国で都市化が急速に推進された時期であり、これほど急激な社会の変化は未成年者による犯罪率を引き上げなかったばかりか、むしろ急激に引き下げた。これは中国の都市化が家庭の現代化をもたらし、未成年者への教育と規制の取り組みが大幅に拡大したことを意味する。中国の未成年者による犯罪率が急激に低下したことが奇跡とするならば、高品質の都市化が最大の功労者と言える。


 これを前提とし、農村部の未成年者による犯罪率が8割を超えることについては、異なった結論が導き出される。まず第6回全国国勢調査のデータによると、農村部の人口が占める割合は7割弱に達している。農村部の世帯の児童数が都市部を普遍的に上回ることを考えると、農村部の未成年者が占める割合は7割以上になる。そのため農村部の未成年者による犯罪率が8割以上に達していることは、未成年者の犯罪問題に超えがたき都市部・農村部の二元構造があることを意味しない。


 次に、同報告書の別のデータにも注意が必要だ。2016年と2017年の2年間に結審された未成年者犯罪のうち、流動家庭、離散家庭、留守家庭、一人親家庭、再婚家庭の未成年者数がトップ5を占めた。これは未成年者による犯罪を抑制するため、整った家庭環境が非常に重要であることを意味する。中西部地区の多くの農家は、農業をしながら出稼ぎに出る状況であり、流動家庭と留守家庭が高い割合を占めている。また流動中もしくは留守中の未成年者の場合、学校教育の質が劣る。つまり離散・一人親・再婚家庭などの社会的要因による家庭教育・規制能力の不足という問題が、短期間内に改善されることはない。しかし農業と出稼ぎによる家庭教育と規制能力の不足という問題は、政策の調整によりある程度は解消可能だ。


 調査研究の経験によると、中国の農家の教育への熱意は、都市部家庭に決して劣らない。さらに中国農村部の都市化の動機は、教育資源配置のレバレッジ効果によるものと言える。多くの親にとって、都市部に進出する直接的な動機は、子供により良い教育環境を提供することだ。しかし客観的に見ると、農家は典型的な「発展型家庭」だ。言い換えるならば、現在の農家は全体的に見て資源が限定的であるが、住宅購入、教育、医療、結婚、介護などで負担を強いられる。子供の学習成績が良くなければ、一部の親は理性的に家庭の目標を調整し、教育費を節約し住宅購入や将来の結婚に資金を使おうとする。親による教育の意欲が弱まれば、未成年者が受ける規制が減り、社会のレールからそれた行為に及ぶ可能性が高まる。


 「発展型家庭」には前向きな一面もあり、中国の未成年者による犯罪率が9年連続で低下するという奇跡を実現した。しかし家計に苦しんだり、家庭全体の方針を調整することで、未成年者の教育と規制を犠牲にしかねないという制限もある。


 上述したように、中国の未成年者による犯罪には、都市部・農村部の大きな格差が存在しているように見えるが、関連データを見るとこの差は固定されておらず、徐々に縮小する流れを占めている。中国の都市化のさらなる推進、特に都市化の品質の向上に伴い、中国の未成年者による犯罪率がさらに低下し、農村部の未成年者による犯罪率も徐々に低下することに期待できる。(筆者・呂徳文 武漢大学中国農村ガバナンス研究センター研究員)



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月5日



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